GINZA CUVO

2010年10月アーカイブ

P1000717昨日までいた東京はすでに1ヶ月以上雨が降っておらず、歴史上最高に暑い夏となった。僕は内心、北海道で久しぶりの雨に打たれたらどんなに気持ちがよいのだろうと考えた。だがそう思っていたのもつかの間で、土砂降り雨の中を走行するのは容易でなかった。雨中の高速道路は車でもストレスを感じるが、バイクでのそれは比較にならない。ヘルメットとレインジャケットを打つ雨の威力はすさまじく、前方を見るのもままならかった。しっかりハンドルを握りしめ、転倒しないことにのみ集中力を注ぎ、目的地に向かって直進した。

北海道中央を縦断する峠を走り抜けた頃、雨は小康状態となり安堵感に包まれた。だかそれもつかの間、今度は燃料が残り少なくなったことを知らせるランプが点滅した。ハーレーダビッドソンの燃料タンクは10リットル程度だが、排気量が1200ccのもあるため高速道路上を150キロほど走っただけで燃料が底をつき始めたのだ。

この先50キロ先までガソリンスタンドはない。そこまで燃料がもつか不安だったので次の出口で高速を降り、ガソリンスタンドを探した。だが、ガソリンスタンドは見つからず、今度はガス欠のピンチに陥った。スピードを落とし低燃費運転に心がけ、燃料がなくなる寸前にガソリンスタンドを見つけた。豪雨に続く2度目のピンチをなんとか切り抜けた。

走り始めてから3〜4時間過ぎ、日が陰り出すと雨に濡れた手足が冷え始めた。残りの走行距離は70キロ程度なので、あと1時間以内に目的地に到着するはずだが、この最後の1時間は手足の冷えとの戦いになった。ようやく目的地にたどり着き、暖かいお湯の中に漬かった時は安堵感と達成感で包まれた。8月にこれほど体が冷えきるとは予想さえしなかった。目的地で一泊した後、帰路も峠で豪雨に襲われたが、無事札幌まで戻ることに成功した。

何故このような苦労やリスクをはらんだバイクツーリングは人を魅了するのだろう?もちろん、車と比べて体に直接風や光、そして臨場感にあふれたスピードを体感できることがバイクの魅力であることは言うまでもない。バイクツーリングは事故やケガなどのリスクを車よりも圧倒的に高くはらんでいる。だが、人生は何かに挑戦すれば100%リスクを回避をすることは出来ない。

今回学んだのはバイクツーリングに伴うリスクを抑えるにはスピードを出し過ぎないこと、そして雨や風、防寒に対する用意を侮らないことだ。そして、いまだにこういった挑戦から多くの事を学べるのは驚きでもあった。人生は何もしなければ喜びや感動も感じない。逆に何かに挑戦し、成し遂げた時に得られる達成感や感動こそ生きる喜びとなると思った。

P1000592慣れない大型バイクの運転で最初こそふらついたが、次第に昔の感覚を取り戻し、高速道路に入る頃にはすっかり運転に慣れた。当初はiPodでも聴きながら、のんびり走るつもりだったが、高速に入るとそうはいかない。高速道路では周囲の車は時速100キロ以上で飛ばしているので、低速運転するよりも周囲の車と同じ速度で流れに合わせて運転する方がむしろ安全なのだ。

何故なら、ゆっくりと走っていると、次々に後ろから来る車に追い越される。 その際、バイクは2輪走行なので、安定感に欠け、追い越される際に生じる風圧でふらつき、ハンドルをしっかり握っていないと転倒しかねない。高速道路で転倒すると大事故になりかねず、一気に恐怖と緊張感に包まれた。

時速100キロ以上の高速で走り出すと、iPodの音はエンジン音や風音でまったく聞こえず、それどころではなくなった。一刻も早くこのスピードに慣れる必要があったが、時速120キロまでアクセルをひねると、思った以上に風圧の影響が強く、横風を受けるたびに400キロ近くある大型のハーレーが揺れた。

外気温が28℃でも半袖では肌寒く感じ始めた。万が一転倒したことを考えると、このような軽装で高速道路を走ることが極めて不適切であった。高速道路を走り出してから10分ほどでパーキングエリアに入り、まず最初にiPodを外した。次に、長袖トレーナーを身につけた。長距離ツーリングがそれほど甘いものではないとこの時点で僕は気がついた。

北海道には南北に走る高速道路があるが、今回のツーリングでは札幌から北へ向かうルート上を200キロほど走ることになる。北上するにつれ気温はどんどん下がり、雨がちらつき始めた。次のパーキングエリアでショルダーバッグに詰め込んでおいた上下レインジャケットを装着し、すぐに出発した。雨足は次第に強くなり、5分もしないうちに土砂降りの雨が僕を待ち受けていた。

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