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技術者ブログ

2022年9月17日
顔面解剖実習-2

大連の地理と歴史、そしてホッフェン株式会社 大連は中華人民共和国東北部、遼寧省内にあり、瀋陽に続いて2番目の都市である。人口655万人ほどのこの都市は、上海、青島につぐ中国3番目の貿易港でもある。日本から空路で2時間半と、中国の大都市としては近距離にあり、訪れやすい場所でもある。 歴史的には日露戦争で日本軍が激戦の末にロシア軍から奪還した203高地が有名である。 1904年に勃発した日本とロシアの戦い、日露戦争で日本が勝利した。翌年1905年にはポーツマス条約で、この土地の租借権がロシアから日本に渡された。 この戦いはあくまで日露間の争いだったので、大連の中国人たちの対日感情は悪くない。 大連から南西へ50キロほど離れた、上記で述べた203高地で有名な旅順にこの会社はある。ドイツ資本で作られたホッフェン株式会社は、人体や動物標本を専門的に作成する会社である。人体や動物の標本は、シリコン重合体で固められる。その特殊な手法はこの会社の特許技術であり、高品質な生物標本を世に送り出している。一度固定された標本は永久的に維持されるため、これらの標本は医学関連の大学や研究機関で、教育研究に重宝されている。 数年前から”人体の不思議展”との名目で、日本各地で開催されている展覧会で使用される人体標本は、このホッフェン株式会社で作成されている。ホッヘン社はかなり大がかりな施設であったが、入り口にはこの施設で作成された多くの動物標本が展示されていた。この会社は標本を作製しているのみではなく、各国から学生を中心に多くの見学者がやってくるので、展示場としての役割も果たしている。世界に類をみない人体、動物標本を作製するホッフェン社が中国、大連に存在し、我々日本人医師がこの場所で、比較的容易に人体解剖実習を行えるのは大変幸運なことである。

中国の献体事情 日本などの先進国では、医学解剖実習用の献体が年々減少しているらしい。中国でも献体数は年々減少しており、かつてのように容易に確保出来る状況ではない。献体をどのように確保しているのか定かではないが、亡くなった後、引き取り手のいない、いわゆる”無縁仏”が主な献体となるらしい。今回の実習では参加者が80名、4~6名で首上部のみの1献体があてがわれたので、全部で約20献体が使用された。使用された献体は、いわゆる”フレッシュカデバー(新鮮遺体)”と言われ、死後あまり時間の経過せず、新鮮度が維持されているとのふれこみであった。実際の献体はまずまずの状態であったが、やはり保存のためにホルマリンが使用されており、医学生時代に行った人体解剖実習を思い起こす鼻をつく臭いがした。新鮮度を可能な限り維持するためなのか、献体は解剖実習を開始時にはチルド状態だったが、時間経過とともに柔らかくなっていった。 20献体すべてが中年以降の男性であったのがそれは何故か?。また、献体から切り離された胴体だが、その行方はどうしたのだろう?豊胸や脂肪吸引のために胴体の解剖実習も行えたらと思い、その理由を中国側担当者に尋ねてみた。まず献体が男性のみである理由は、引き取り手のいない身元不明のご遺体はほとんどが男性であること。次に、胴体が切り離されていることだが、献体数が不足している都合上、胴体はまた別の解剖実習等で有効利用されるか、遺体の新鮮度を維持するには経費がかかるため、頭部のみを使用しているとのことだった。

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