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技術者ブログ

2022年9月17日
顔面解剖実習-4

フェイスリフトに必要な顔面神経走行

彼の発表はフェイスリフト手術における解剖学的留意点を中心になされた。フェイスリフト手術は顔面神経の走行に熟知している必要があるのは言うまでもない。特に顔面神経側頭枝や下顎枝は側副枝や迂回枝がないため、一度損傷すると不可逆的な顔面神経麻痺を起こすため、決して損傷することのないように十分に注意する必要がある。顔面神経頬枝は多くの側副枝があるため、軽度の損傷では麻痺は起こらない。知覚神経に関しては、額リフトの際、眉毛内側に位置、三叉神経第一枝(眼神経)に含まれる眼窩上神経と滑車上神経の損傷に注意しなければならない。Pasuquale医師の話で興味深かったのは、顔から首にかけての皮膚の厚さの差異についてである。フェイスリフト治療は弛んだ皮膚を引き上げるため、皮膚を皮下組織から剥離する手技が中心となる。その際、皮膚の厚さを考慮して薄い部分はより慎重で丁寧な剥離が必要となる。このように顔の部位によって、きめ細かな治療手技の考慮により、顔面神経損傷等が起こりにくいことや、より良好な結果が得られるとのことだった。

国際的に行う学術交流の意義

胡医師(大連医科大学第一附属医院、美容整形外科教授)が眼瞼形成に関する解剖、そして張医師(大連大学附属新華医院、美容整形外科教授)が鼻整形に関する講義を行った。受講者のほどんどが中国人医師であったため、中国側の発表は日本語に訳されなかったので、何を話しているかほとんどわからなかった。だが、スライドを使った発表であったことと、医学用語は英語で書かれていたため、言葉がわからなくてもその内容を推測することは可能であった。

美容医療領域の中で容姿の改善を主に行う美容外科は、同じ人種間で意見を交わすことに価値がある。私自身美容外科を始めた頃、少しでも多くの情報を得るため、米国やヨーロッパの学会にちょくちょく足を運んだものだ。ただ、現実的に日本の美容医療現場で直接的に役立つような情報を得ることは少なかった。それは欧米人と東洋人では体質が違うため、用いる治療手技や対象部位自体も異なるからだった。

例えば、私が今から7年前、ポルトガル、リスボンで行った10日間の美容外科研修では、その症例のほとんどが脂肪吸引や乳房縮小術などであった。これは欧米人たちの中高年以降、肥満に陥りやすい体質によるもので、美容外科を訪れる多くの患者さんたちが肥満治療を主体としていたのだ。しかし、日本では欧米に比較すると、肥満は圧倒的に少なく、こういった治療は欧米ほど一般的ではない。

また、ドイツで行った顔面の美容外科的治療は、体部の治療よりは参考になったものの、日本で最も多いと言われる眼瞼形成手技は意外に少なかった。鼻形成では日本で頻繁に行われる隆鼻や鼻翼、鼻尖部縮小などの治療はなく、主に鼻全体の縮小術や鷲鼻修正など、鼻を高くするより、むしろ鼻を低く、小さくする治療がより多く行われていた。もちろん共通点が全くないわけではなく、フェイスリフト治療などは万国共通のコンセンサスがあるのは言うまでもない。しかし、フェイスリフト治療といえども、皮膚の厚さやSMASなど皮下組織の性状、顔面骨格の3次元的構造に配慮した適切な治療が必要となる。したがって、解剖学的構造が類似した同人種間で行うセミナーが、こういった万国共通のコンセンサスがある治療においてもより有益であろう。

銀座CUVOクリニックのフェイスリフト

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