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美容外科ブログ

2022年9月21日
産業医の仕事

美容外科での日常診療は、一般社会とかなり異なる環境での仕事と言わざるをえない。美意識の高い人達のみをクリニックに招き入れて行う僕の毎日の仕事では、一般人と接触する機会はほぼ皆無。そこで僕は今年から一般社会との接触を図る目的で、昨年夏に一週間研修して産業医免許を取得した。 産業医とは企業に勤務する労働者の健康管理等を行う医師を言う。一般企業は労働安全衛生法によって、一定規模の事業場には産業医の選任が義務付けられているのだ。

先日、産業医として訪問したのは茨城県古川市にある時計修理工場で、上野発JR宇都宮線で1時間程の小旅行となった。 宇都宮、栗橋駅は埼玉県最北の街だが、東西を流れる利根川の北には茨城県が隣接していた。そして古川市はこの県境にある静かな場所だった。利根川河川敷にはゴルフ・コースもあり、広々とした街並みで、川の水も穏やかに流れていた。

その日僕が産業医として実際行った業務は、時計修理工場に勤務する修理工さんたちとの面談だった。面談を行う方々のカルテがなく、簡単なアンケートのみで行う面談は予想以上に困難だった。美容外科医療でも当然カウンセリングは行うが、それもその後に続く治療や手術ありきの話しなので、一つの過程に過ぎない。

だが産業医の面談は、最初から最後までカウンセリングのみなので、何らかの結果を出すのは容易ではない。心療内科・精神・神経科と同様、相手の悩みを聞き出し、何らかのアドバイスを行うこの仕事は、僕の日常業務で用いる手術という道具がないだけに、医師側の人間性などが問われる難しい仕事といえる。

もし僕が新米医師だったら、この仕事をこなすのはほぼ不可能で、何も出来ずに退散していただろう。もしくは企業側から更迭されたはずだ。一人30分間の面談で、こちらに人生経験がなければ、何のアドバイスも出来なかっただろう。

今回の企業の場合、職員のほとんどが時計修理工という職人さんであるため、面談を行った職人さんたちのほとんどは、その仕事上、無口な方が多く、コミュニケーションを図るのに困難を極めた。しかし職人さんたちは30分の面接の間、次第に心を開き、僕のアドバイスに目を輝かして聞き入ってくれる場面にも遭遇した。

彼ら・彼女たちがとても謙虚でまっとうな生き方をしている姿を見て、久々に感動した。”彼らに何か会社に対する要求はありますか”と僕から尋ねると、驚いたことにほとんどの方々が自分のことよりも、一緒に働く同僚の仕事環境改善を求めていたのだ。

自分よりも他人を優先するその姿勢に僕は正直驚かされた。競争の激しい都心部で長年勤務していると、気づかぬうちに自己中心的生き方が身についてしまいがちだ。そんな生き方が当たり前の環境で暮らす僕にとって、彼らの他人を思いやる姿は新鮮だった。決して派手さはないが、日々勤勉に職人としての仕事をこなしているうちに、謙虚さや他人を思いやる気持ちを彼女・彼らは習得したのだ。

約3時間で6名の面談終了後、この会社の経営者に面談結果を報告をした。何らかの問題を抱える6名が選択され面談したわけだが、僕は経営者に全員問題なく就労継続可と報告した。経営陣は、僕の報告にややあっけにとられたようだが、各人の詳細を説明すると安堵したように見えた。会社側は、修理工さんたちに今後も仕事を継続して欲しいという期待があったのだ。無事任務を終了して僕自身もほっとした。

都心のど真ん中で美容医療という特殊な環境で勤務する僕にとって、産業医の仕事は思いの外”気づき”があり、良い気分転換となった。そして僕自身がいかに自己中心的に生きているかを気づかされ、反省する機会を得た。勿論、美の追究も価値ある仕事だが、他業種の仕事も同等、もしくはそれ以上に価値ある仕事と感じた。そして彼らの徳(波動)の高さがその何よりの証拠であった。今後も産業医を継続しながら,普段美容医療の現場では経験できないことから学びを深めて行きたい。

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