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技術者ブログ

2022年9月19日
6.1 なぜ、アンチエイジング美容外科が注目されるのか?−3

●顔のしわ治療——「表情じわ」と「下垂じわ」 

抗加齢外科の主な対象となる顔のしわ治療では,図6.3 のようにいくつかの部分に出現する.一般的に,しわは「表情じわ」と顔面構成組織の「下垂じわ」の二つに大別される.

これらのしわは比較的深く直線的なしわである.これ以外には皮膚表面に細かく発生するいわゆる「ちりめんじわ」と呼ばれるしわもある.「表情じわ」は必ずしも加齢現象ではなく,しわを形成する表情の癖がある方に出現し,若年層から発生することもある.以下,主な表情じわは①額,②眉間,③目尻,⑤ほうれい線である.

顔面構成組織の「下垂じわ」は④目の下⑦口角で,④目の下,⑤ほうれい線,⑥口元のしわなどは両方の要因が加わって発生する.

これらのしわは,皮膚の弾力性が失われると顕著になるので,皮膚を老化させないことが大切である.

「抗加齢外科」の顔のたるみ治療は,具体的にどのようなものかと言うと,主な顔のたるみは目の上下,頬,首などの部位に起こる.

その場合,目の上下は上・下眼瞼形成術で治療する.頬や首は皮膚のたるみがある場合,フェイスリフトやネックリフト治療を行っている.

頬のたるみが頬脂肪(バッカルファット)が原因の場合,頬脂肪除去治療が大変有効となる.頬脂肪除去治療が適切に行われると,頬のたるみが改善するのみでなく,顔下半部が縮小されるため,いわゆる“小顔”が獲得される.

●顔の部位別の原因と治療方法

次に「部位別の原因と治療方法」についてまとめてみよう.

① 「額のしわ」の原因は,必ずしも老化現象ではなく,表情じわの一つ.額のしわは前頭を用いて眉毛を上げる癖が原因となる.

日本人よりも西欧人の方が前頭筋量が多いので,西欧人で比較的顕著に若年層から認められる.

日本人の額のしわは,一重瞼や目の上の皮膚が厚く目に覆い被さっているため,眉毛を挙上して目を開ける癖のある方に認められる.

治療としては,ボトックス注射で前頭筋の働きを弱めると,しわは大幅に軽減される.上瞼に原因がある場合は,二重治療やたるみ治療を行う.

② 「眉間のしわ」の原因は,これも表情じわの一つである.眉間には皺鼻筋と呼ばれる眉を細める筋肉があるが,眉間にしわを寄せる癖のある人はこの筋肉の

作用により,眉間にしわが発生しする.治療としては,ボトックス注射でこの筋肉の働きを弱める.深い皮膚線条がすでにある場合は,ヒアルロン酸注入を行うと,

さらに効果的である.

③ 「目尻のしわ」の原因は,これも表情じわの一つ.目尻のしわは眼輪筋の作用により,笑いじわとして出現する.よく笑う癖のある人に発生する.

治療としては,目尻のしわの原因となる眼輪筋の働きを弱めるためのボトックス注射を行っている.

④ 「目の下のしわの原因」は,眼輪筋の働きによる表情じわで,加齢とともに発生した目の下のたるみが原因となっている.

治療は程度によって治療方針は異なるが,根本的治療は目の裏から下眼瞼形成術を行い目の下のたるみを改善すると,目の下のしわを予防することが出来る.

⑤ 「ほうれい線」の原因は,加齢よる筋肉,脂肪などの顔面構成組織の弛みや,よく笑う表情を作る癖のある人などに発生しやすい.治療としては,ヒアルロ

ン酸注入や注射針による真皮層に発生した繊維状の癒着解離を行うこともある.フェイスリフトなどさらに進んだ外科的治療を加えることで改善を試みることもある.

⑥ 「口元のしわ」の原因は,加齢現象により真皮層にある弾性繊維の欠乏が原因となる.歯周病により歯が抜け落ちると,しわが強調されることも考えられる.

治療としては,ヒアルロン酸等を定期的に注入することが効果的である.

⑦ 「口角のしわ」は,加齢とともに出現する,頬脂肪(バッカルファット)を中心とした顔面構成組織の下垂によって目立つようになる.

治療としては,しわが浅い場合はヒアルロン酸注入を行う.頬脂肪が大きく,口角のしわの主原因となっている場合は,頬脂肪除去治療を行う.

では,こうした症状の出現に対してどのような治療が有効となるであろうか.

しみの場合には,「Q スイッチYAG(532nm)LASER 照射」が有効である.額,眉間,目尻等の表情じわは,「ボトックス注射」などのスキンケア治療が有効である.目の周囲,ほうれい線,口角のしわは「ヒアルロン酸」が有効であるが,皮下の奥に存在する脂肪塊組織がもたらす皮膚のたるみがこういったしわの原因なので,根本的解決とはならない.目の周囲,頬のたるみは「脂肪塊組織除去」やそのバランス調整により大幅に改善される.

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