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美容外科ブログ

2022年9月20日
フィラデルフィアー2

米国人外科医の過酷な日々 かつて暮らした米国での生活を想い出しながら、フィラデルフィアの街を足早に歩いた。気がつくと市街中心部を流れるデラウエア川のほとりまでたどり着いたが、すでに太陽は沈みかけていた。12月の米国東海岸は木枯らしが吹き、陽がかげると体感温度は一気に下がる。明日からいよいよ整形外科研修が始まるが。その間、しばらく寝泊まりをする寄宿舎に戻る頃にはあたりは真っ暗になり、体は冷え切った。僕はコーヒーをすすりながら明日の予定表に目を通した。研修は早朝6時から始まる予定だったので、朝の弱い僕は少しでも長く睡眠時間を確保するため、午後10時には床についた。 フィラデルフィアでの整形外科研修は3ヶ月程度の予定だったが、研修中はこの病院に勤務する米国外科医たちと同じスケジュールで行動することになっていた。米国の外科医の朝はとても早い。彼らは術前ミーティングのため、早朝6時から会議室に集まっていた。僕は初めてのミーティング参加にとても緊張したが、この病院には僕のような海外からの短期研修制が常に来ているのせいか、誰も僕に関心を示さなかったので、すぐに平常心を取り戻した。ミーティング間際になると、若手医師の一人がコーヒーをすすりながら、寝癖のついたままの髪の毛で慌てた様子で現れた。そんな彼を見ていると、まるで日本で働く自分の姿を見ているようで安心した。ミーティングでは、新しい治療手技や今週行うやや難しい症例などの紹介が行われ、医師たちが活発に論議を交わした。ミーティングが終わると、手術は午前7時頃から始まった。日本でこの規模の総合病院の場合、どんなに早くても手術は午前9時開始だから、僕は米国の医師のほうが日本の医師よりも過酷な仕事をしていることにすぐ気がついた。病院の外は早朝のせいか閑散としていたが、手術室の中に入ると、そこは看護師や医療技師たちが忙しそうに動き回り、とてもにぎやかだった。 手術見学(病の原因は肥満だった) 僕は日本から整形外科研修に来た医師として、手術を間近で見学することを許された。手術予定表を見て唖然とした。朝7時から始まる膝や股関節の手術は、2時間枠で延々と続き、午後5時頃までびっしりと入っていた。しかも手術室は全部で20室ほどあり、10室くらいが同時進行で進んでいた。つまり、一日50件以上の整形外科手術がこの病院では行われていた。どうしてこれほどまで米国では整形外科(関節疾患がほとんど)の手術が多いのだろう?その理由は米国で3人に1人が肥満であることに他ならない。肥満の人は膝や股関節に負担がかかりやすく、当然長年そのような状態にあると、骨が痛み慢性疼痛が発生する。一度痛んだ関節内の骨は再生困難で、人工関節置換手術が必要となる。この人工関節手術が、まさにベルトコンベアーの如く、次々と行われていることに僕は驚愕した。股関節や膝が悪くなるのも肥満が原因なので、肥満さえ解消されればこのような手術をする必要ないはずだ。 一体、この国では何故、肥満が多いのだろう?それはカロリーオーバーになりやすい食習慣が背景にある。米国ではマクドナルドなどのファーストフードが至る所にあり、誰しもが幼少時代からハンバーガー、コカコーラやフライドポテトなどの高カロリー食を気軽に口にする。また、普段から食べる通常食も並大抵ではなかった。僕が米国で3年近く暮らしていた時、ちょくちょく知人の家の夕食に招かれた。その頃大変苦労したのがその食事量の多さと、必ず食後に用意されるデザートだった。デザートはアイスクリーム中心だったが、日本の一人前の少なくとも3倍ほどあり、出された手前、完食しない訳にはいかなかったが、とても辛い思いをしたものだ。このように明らかにカロリーオーバーな食事の翌朝は、摂取カロリーを消費するため、必ず1時間近くジョギングに出かけた。このような食生活を日常的に続けていたら、相当ハードに運動しない限り、確実に肥満に陥ったであろう。 さらに肥満の原因は米国の車社会にも責任がある。広大な面積を有するこの国は、どこに行くにも車を使うように整備されている。そのため、車がなければ何も出来ないことすらある。ある時、サンフランシスコ空港の近くで、飛行機遅延のためやむを得ず一晩過ごしたことがあった。夜お腹が空いたので、近くに何か食事が出来る場所がないか歩いて出かけたことがあった。歩道すらなかなか見つからない空港近くの道を、明かりが見える方に向かって30分ほど歩いたが、結局何も見つからず引き返した。車に乗れば、すぐにドライブスルーなどが見つかったのだろうが、歩行者のためには残念ながらこの国の街は設計されていないのだ。だから、米国人たちは車に依存した生活を強いられ、運動不足となり、その結果肥満となる。米国で唯一、車優先ではない街はニューヨーク、マンハッタンだろう。マンハッタンは車より歩行者優先に設計されており、ここに暮らす人の肥満率は10人に1人程度と他州よりも極めて少ない。それはニューヨーカーが車を利用せず、徒歩で行動するので、消費カロリーが多いからなのだ。

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