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2020年4月アーカイブ

さまざまな老化現象とアンチエイジング

 

老化とは一般に体力が衰え,病気に対する抵抗力が弱まり,それとともに心身の機能低下が始まり,記憶能力や知的能力も後退することとされている.

身体のいろいろな神経や臓器が衰弱し,萎縮・減少するため,心肺機能低下や消化器機能低下等,さまざまな生活機能が低下し,生活習慣病を呼び招く.

そのために精神や運動機能にも影響し,活動内容が制限され,日々の生活を縮小させ,生きがいを喪失するといった悪循環の全体について,「老化現象」と呼んでいるわけである.

高齢になると「予備能力」といって体に何か起こったときに対処する予備の力が少なくなるのは,こうした悪循環がもたらす衰退過程,あるいは活動域の縮小によるものと考えられる.

 

老化の悪循環に抗して,良質なQOL を維持するには心身を健全に保つことが肝心であるが,そのためにはメタボリック症候群,糖尿病,高血圧等の生活習慣病に罹患しないようにすること,正しい食習慣や規則正しい生活,適度な運動を日々の生活に取り入れることが欠かせないことは言うまでもない.

それとともに,中高年層で留意すべき点は心の病気に陥らないことだろう.心の健康を良好に保つことが,体の健康と同様,老化を遅らせて生活機能を高め,

活発で幸福な高齢期を過ごすポイントとなってくる.

 

たとえば,一般にうつ状態と言うと,20 代前後の若い世代と40 50 代の中高年層に集中しているイメージがあるが,実際に最も多い世代は60 代・70 代の高齢者である.

これは高齢によっていろいろな意味で死と直面することになり,配偶者や友人の死,度重なる病気や身体の不自由,経済的不安等,孤独感や喪失体験が重なることで心のバランスを崩しやすくなり,高齢者であること自体が「うつ病」発症のリスクファクターとも言えるからである.

 

こうした「うつ病」はその原因とされる心の状態を取り除き,軽減させることで改善されるが,そのためには趣味や生き甲斐を持ったり,仕事や社会活動に参加して充実感や達成感を持つことでその発生を抑えることが必要である.中高年層世代の場合は加齢に伴い,しわ,しみ,たるみ等が発生してくるが,こういった加齢性変化はわれわれ自身の心に影を落とし,コンプレックスとなり,精神面にも影響を及ぼして,ネガティブ思考の原因となりかねない.それは繰り返すが,「老化にいっそう拍車をかける悪循環」の要因,あるいは始まりなのである.

 

美容外科領域ではこういった加齢現象に伴う外見上の衰えを回避し,精神面に若さと華やぎを取り戻すことが可能である.

アンチエイジングのための美容医療において,その治療対象は顔面が中心に行われるが,しわやたるみの悩みなどを解消するだけで,その人の心身の機能が活性化し,活動域が広がり,日常生活がポジィティブなものに変化するのも事実である.

 

 

 

「抗加齢外科」とはどのような治療か?

 

それでは実際にいくつかのケースレポートを見ていくことにしたい.

中高年期に入る頃から加齢現象によるしみ,しわ,たるみが顔や首に出現し始める.

 

しみは当初はこめかみ等に現れることが多い.その原因としては,新陳代謝の衰え,遺伝,紫外線の影響等が考えられる.

たるみは目の上,目の下,頬下部に出現する.その原因は眼周囲脂肪,頬脂肪(バッカルファット)の下垂である.

しわは額,眉間,目尻,目の下,ほうれい線,口角に出現することが多い.原因となるのは,額,眉間,目尻のしわは,加齢に伴う皮膚の弾力性低下によるもので,

その下にある筋肉の動きが皮膚線条として出現するためである.(表情じわ)

目の下のしわ,ほうれい線,口角のしわは,眼周囲脂肪,頬脂肪(バッカルファット)の下垂がその主な原因である.

 

こうした加齢現象とともに出現する老化の兆候,老化のサインを改善するために行う外科的治療を一般に「抗加齢外科」と呼んでいるが,

この中で,しみは皮膚科的に対処されることが一般的なので,「抗加齢外科」の主流としては,しわ,たるみが主な対象となっている.

 

副次的な対象としては,肥満による全身のたるみが考えられる.肥満は摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスなど,食習慣を中心とする生活習慣が主な原因であるから,まずは内科的生活習慣の見直しから行うことが先決であるが,内科的対処でも効果が現れない部分太りなどは,抗加齢外科の対象となる場合もある.

 

現状では老化現象による症状で治療を受ける年齢対象は30 60 代が中心となっているが,今後は高齢化が進むにつれ,70 代以降の患者が増加する傾向が現実化する可能性が考えられる.