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現代医療の矛盾-2

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[caption id="attachment_488" align="alignright" width="369" caption="北京大学医学部形成外科カンファレンスへの参加"]IMAG0143[/caption]

このような医療の中でも最も過酷な分野で働く外科医たちは、僕たちのような学生に構っている暇などなく、邪魔をしない程度に見学させてもらうのがやっとだった。そんな過酷な外科医たちの姿を見て、僕たち学生は”外科医になるのはよほどの覚悟がないと。。”と話し合ったものだ。

ある時、一人の心臓外科医がつぶやくように、”あー疲れた。こんなに大変な仕事を俺はやっているのに、他科の楽な医師たちと同等の給与だと思うと嫌になってしまうよ”と。この外科医の一言に、学生の僕は確かにあれほど過酷な仕事にもかかわらず、そうではない医師と同等の給与というのは割に合わず、明らかに不平等だと思った。

僕はそういった既存の給与体系よりも、能力主義、成果報酬と呼ばれるように、医師がこなした仕事量に応じて、給与が増加するほうがやり甲斐があると思った。結局、自分が医師となってもこの考え方は変わらず、保険診療体制よりも、能力主義が可能な自由診療に惹かれるようになった。

だが、保険診療を行っている医師の中には仕事のみにその価値を見出し、給与体系は全く気にしないといった非常に高潔な考え方をする医師もいた。この考え方こそが、人の命を預かる医師として最も尊敬すべきものであろう。

最後に

これまで述べたように、現代医療には僕を自由診療へと向けたいくつかの矛盾点が存在する。だが、医療をビジネスとして多くの人々が生きている限り、この体制はすぐには変わらなであろう。また、いくつかの矛盾点があるものの、国民皆保険制度は、多くの人々に分け隔て無く、安全な医療を提供する優れた体制であることには間違いない。

例えば米国では、医療費を支払えない患者さんは、たとえ瀕死の状態であっても病院から追い出すようなこともあるらしい。それに比べると、いかに日本の保険体制が優れているかがよくわかる。

現代人は政治や社会にすっかり無関心になってしまった。我々一人一人がもっと政治に関心を持ち、医療における矛盾点を是正しようとすれば、さらに良いシステムが導入されるであろう。その結果、医療費、税金が軽減され、より豊かな生活の実現に近づくはずだ。

近い将来、我が国ではTPP(環太平洋経済連携協定)導入が現実味を帯びてきた。このシステムの導入で懸念事項の一つが医療サービスの自由化である。米国流の民間保険制度が導入されると、これまで培ってきた保険制度が崩壊する恐れもある。

そうなると、比較的平等であった我が国の医療が、所得に応じて医療の質が異なるような不平等医療が現実化しかねない。今こそ、知らない間に我々に根付いた無関心や日和見主義を改め、一人一人が明確な意見と、それを主張する勇気を持ち、皆が幸せになれる国造りのための努力をするときが来ている。

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