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新人教育-2

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[caption id="attachment_437" align="aligncenter" width="491" caption="中国海南島、植物園にて"]中国海南島、植物園にて[/caption] 随分前、僕は北海道のある街で研修医をしていた。その頃、年齢が一回り以上離れた看護学生たちが病院に住み込んで働いていた。彼ら、彼女たちは高校卒業後、准看護師資格を取得するため、朝晩病院に勤務しながら、日中学校で勉強していた。普通であれば勉強そっちのけで恋や遊びに夢中になる高校卒業後間もない若者たちにとって、仕事をしながら勉強するのはとても大変なことだった。

そんな彼ら、彼女たちの学校に、時々整形外科の講義をしに僕はでかけていた。その中の学生に人一倍お転婆な女子学生がいた。彼女は授業中も学校の後、遊びに行くためのお化粧をしているか、さもなければ徹夜で遊んだ疲れのせいか、講義中も居眠りしているかどちらかだった。

真面目に授業を聞く学生よりも、こういったお転婆な学生がより印象に残るのもので、この学生さんの将来がどうなるのか、僕は人ごとながら心配だった。この学生さん、高校でもほとんど勉強していなかったようで、教科書を読ませてもその中の漢字すらまとめに読めなかった。この学生さんは僕の勤務していた病院に住み込みで働いていたが、夜も門限までに戻らず、すぐに病院でも問題児に成り果てた。どうなることかと思いきや、やはり学校で進級できず、落第してしまった。落第がショックだったのか、准看護師になるこをあきらめて結局学校を辞めてしまった。

彼女は典型的な落ちこぼれケースで、一般社会はこういった学生には救いの手を伸ばさず、落第者の烙印を貼ってしまう。だからこのような経歴の人間がまともな就職しようとしても、ほとんど不可能に近い。ではこの女子学生さんは一生社会の落伍者として負け犬の人生を暮らさなければいけないのだろうか?

彼女が病院も学校も辞めてしばらくしてから、風の噂で彼女はいわゆる”夜のお水の仕事”を始めたことを知った。当時の彼女のお酒の飲みっぷりやそのノリからその世界では成功するだろうと想像したが、案の定、彼女はすぐに頭角を現し、いわゆる”ママさん”にまで上り詰めたらしい。

僕が10年前に上京して以来、北海道の仕事仲間たちとの連絡は次第に途絶え、その後彼女がどうなったかは全く知らなかった。だが彼女の学生仲間の一人が最近になって僕に連絡をしてきたので、あの時のおてんば学生さんがその後どうなったかを尋ねた。予想では夜の世界で活躍しているだろうと思った。だが予想と反して、お水の世界からすぐに足を洗って結婚し、一児の母となりながら再度準看護学校に入り直し、准看護師になった。その後彼女はさらに上を目指し、数年前に正看護学校に入学し、この春見事正看護師になったらしい。

漢字も読めなかったはずの彼女は自力で立ち直ったからたいしたものだが、一般的には20代そこそこの経歴で”だめ人間”のレッテルを貼られたが故に、伸び悩んでしまった人間も少なくないはずだ。このように世間は無限の可能性を持つ人間の芽をいとも簡単に摘んでしまう。

我々成長した人間は若者の芽を摘むのではなく、育てる努力を惜しまないことが全うな社会のあり方だと思う。 若い時から出来の良い、いわゆる”お利口さん”を見つけることに躍起しても、そんな人間がいるはずがない。たとえいたとしてもそれは見せかけで、意外に根性がなかったりするものだ。だから僕のクリニックでは学歴不問で、ただガッツのある人間を採用するようにしている。通常の診療のみならず、将来の日本を担う若者たちを育てることも僕に与えられた使命だと思っている。

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