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それぞれの仕事

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 先日の夜、仕事帰りの付き合いがなかなか終わらず最終電車を逃した。 時刻はすでに深夜1時をまわっており、今年の冬は例年より冷え込みが強く、一刻も早く帰宅しようと、タクシーで帰ることにした。 

どのタクシーに乗っても都内では料金は一律なので、遠距離を走る場合、少しでも乗り心地が良いほうがよい。そこで、一般的に高級車を使用することの多い、個人タクシーを選んだ。


個人タクシーの運転手さんは70代の初老の男性だった。僕は「今夜も冷えますね。」と答えると、運転手さんは「世の中温暖化だなんて騒いでいるけれど、そんなことはないな。本当に今年は寒いね。」と気さくに答えた。

随分前にハンドルを握るのをやめた僕は、タクシーに乗る機会が多く、タクシー乗車中、運転手さんとちょくちょく会話をする。

だが、運転手さんには話し好きな人と、そうではない人がいるので、今回のようにこちらから挨拶程度に声をかけて、運転手さんが話し好きかどうか探るようにしている。


今回の運転手さんは、どうやら話し好きのようで、こちらの質問にすぐ答えた。タクシーの運転手さんは世相や景気の動向をいち早く察知していることが多い。

何故なら、景気が悪くなると、真っ先にタクシーを使う人たちが減るし、逆に景気が上向くとすぐに乗客が増えるので、情報として迅速なのだ。

だから普段クリニックにこもりきりで仕事をしている僕のような人間には彼らの話が大変貴重な情報源となる。


今回の運転手さんも景気が今年に入っても上向かないという。そこで僕はすかさず、「株価は最近上向き傾向ですよ。」と言うと、運転手さんは「いくら上向きといっても、一万円前後をいったりきたりしているようじゃ、景気がよくなるのはまだまださきだよ。」と的を得た答えが返ってきた。


この運転手さんはマイペースで仕事をしていてるらしい。話を聞くと40年近く個人タクシー営業をしており、仕事は夜12時過ぎにスタートし、翌朝午前10に終えるという。つまり、40年近く昼夜を逆転して仕事をしてきたのだ!

通常、人は太陽のリズムで生活し、太陽が沈むと脳幹部松果体から睡眠誘発物質メラトニンが分泌され、人は眠りに落ちる。海外へ行った時に起こる時差ぼけは、このメラトニン分泌の時差によるずれが原因だ。


だが、この運転手さんの場合、日本にいながら、昼夜を逆にしているので、メラトニン分泌は常に時差ぼけの状態のはずだ。だが、彼は昼の2時過ぎから夜の10時近くまでの8時間をぐっすり眠るという。

人の生理的リズムから言うと、常識を覆す事実だが、人は40年近くもこのような生活を続けると、それも可能となるのかもしれない。

まるで、夜に行動する夜行性動物のような生活だが、昼間では短距離乗車するお客さんが多く、道路の渋滞でそれほど売り上げがはかどらない。

それに比べて、夜は長距離乗車するお客さんが多く、道路が空いているので、効率よく収益が上がるとのことだった。


タクシー運転手さんの中には90歳を超えて現役で仕事をしている場合もあるとのこと。降車する前に「退職しないのですか。」と尋ねると、「年金だけで生活はきないし、何もしないいるとぼけてしまうから、体の動く限り、働いていたい。」と彼は言った。

今晩もきっとどこかで車を走らせているだろうこの運転手さん。僕たち一般人が寝ている時間にも、毎日働いている人たちがいる。



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コメント(2)

うーん凄いですね。私も最近朝寝て夜起きてます。海外にいってから、リズムが乱れました。困りました。

何とかリズム取り戻してください!
やはり太陽のリズムとともに暮らすのがなんと言っても健康的です!

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