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目の下のくま・たるみ治療

目の下のくま(クマ)、たるみに対する結膜面アプローチによる下眼瞼形成術の治療成績-5

目の下のくま(クマ)の原因とその治療の詳細

目の下のたるみの原因は、加齢に伴う下眼窩脂肪の前方脱出であるのに対し、 目の下のくま(クマ)は、下眼瞼の解剖学的構造の不具合が原因である可能性が高い。我々日本人の祖先はモンゴロイドと呼ばれる北方系東洋人や南方系東洋人、さらには西アジア方面からやってきた民族など、遺伝子レベルでは他民族が混血化した東洋人である。

そのようなモザイク遺伝子を保持する我々は、眼窩や眼窩脂肪の大小の不整合や、下眼瞼の解剖学的構造の不具合が発生していても不思議ではない。目の下のくま(クマ)は下眼瞼皮膚の下垂が原因となって、下眼瞼の陰影が強調された状態である。下眼瞼皮膚の下垂は、下眼窩脂肪内を横走し下眼窩脂肪を深層骨部から浅層皮膚に連結させるLockwood、Wang Wei靱帯が、皮膚と皮下組織を下垂位に固定する解剖学的不整合から発症していると思われる。

この状態では、Nasojagal Fold(いわゆる”目の下のハの字”)の陰影を目立ち、下眼窩脂肪の膨らみを暗い影として強調する。さらに皮下組織の薄い症例では、下眼瞼皮膚を通して、豊富な血行を伴ったオレンジ色調の強い下眼瞼脂肪が光を透過吸収し、下眼瞼皮膚がいかにも黒っぽい色素を伴っているかのように見える。このように下眼瞼の陰影を強調する複合的要因が重なった状態を総じて、目の下のくま(クマ)と我々は認識する。

したがって目の下のくま(クマ)治療は、下眼窩脂肪前方膨隆部を適切に除去した後、Lockwood、Wang Wei靱帯を解離し、下眼瞼皮膚を下眼窩骨や皮下組織から解放することが主体となる。この操作により、下眼瞼部位で間延びした皮膚は、下眼窩骨、皮下から自由となり、収縮挙上する。その結果、下眼瞼皮膚の下垂は改善され、目の下のくま(クマ)は大幅に目立たなくなる。以上のように、目の下のくま(クマ)治療は、目の下のたるみ治療と異なり、いわゆる脱脂中心に行うのではなく、下眼瞼で間延びした皮膚を皮下組織から解離、挙上させることが主体となる。

目の下のくま(クマ)治療の症例

症例は33歳、女性で当院を訪れる7年前に他院にて目の下のくま(クマ)に対する眉毛下皮膚切開法による下眼瞼形成術を受けた。治療前写真Fig. 8-a,bの如く、他院で治療を受けたにもかかわらず、依然として明らかな目の下のくま(クマ)が残存していた。また下眼瞼眉毛直下に過去の切開治療による皮膚切開瘢痕が観察される。当院での再治療は経結膜的下眼瞼形成術を行い、軽度に存在した下眼瞼余剰脂肪を除去した。その際、下眼瞼皮下組織と下眼窩骨を結合するRockwood 靱帯を切離し、下垂位にあった下眼瞼皮膚を自由化し、挙上させた。Fig. 8-iの如く、摘出された下眼瞼脂肪量は右<左で、少量であった。

治療翌日Fig. 8-c,dを観察すると、両下眼瞼の明らかな腫脹を認めたが、今回が再治療であるため、通常より腫れが大きく出現したと思われる。治療1週間後の写真Fig. 8-e,fを見ると、治療翌日に顕著に出現した下眼瞼の腫脹は大幅に解消されたことがわかる。治療1ヶ月後の写真Fig. 8-g,hを見ると、治療前に認められた目の下のくま(クマ)症状は明らかに改善されたことがわかり、本人も治療結果に大変満足した。

この症例のように、目の下のくま(クマ)の原因は下眼瞼脂肪より、むしろ下眼瞼皮膚構造の不具合による下眼瞼皮膚下垂がその主な原因であり、下垂した下眼瞼皮膚を挙上させうる操作を行ったところ、症状の著しい改善が得られた。

Fig. 8(左から順にa,b,c,d,e,f,g,h,i)

Fig. 8-a,b

33 year old female. Preoperative front and enlarged view around the eye.

Scar at subcilicary region suffered from previous operation was found.

Tear trough and darkness of lower eyelid are remarkable.

Fig. 8-c,d

One day after the operation. Swelling is relatively prominent.

Fig. 8-e,f

One week after the operation. Swelling of lower eyelid was mostly subsided. However, chronic swelling of orbicularis oculi muscle still remains.

Fig. 8-g,h

One month after the operation. Excellent result was obtained.

Fig. 8-i

The amount of the lower orbital fat was relatively small.


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それ以外の目の下のくま(クマ)要因

従来まで目の下のくま(クマ)は、目の下の色素沈着や血行障害がその主な原因とされ、いわゆる”青クマや茶クマ”など、その色調による医学的根拠に乏しい分類がなされていた。 当クリニックに目の下のくま(クマ)治療に訪れる患者さんの問診によると、以前、化粧品やマッサージなどのエステ的加療、レーザー照射など美容皮膚科的治療を試みたが、症状がまったく改善しなかったとの経歴がほとんどだった。

これらの患者さんは、目の下のくま(クマ)に対するさらなる改善策を模索した結果、最終的に手術的治療を選択せざるを得なかった。そういった患者さんに、経結膜的下眼瞼形成術により、目の下のくま(クマ)の解剖学的原因を根本から修正した結果、ようやく期待する結果が得られた。このことからも目の下のくま(クマ)の原因は、下眼瞼色素沈着症や血行障害よりも、むしろ下眼瞼の解剖学的不具合が主な原因があることが示された。

だが、目の下のくま(クマ)の場合、この症状を増強させる皮膚自体の色素沈着についても言及しなければならない。一般的に眼周囲皮膚は薄く、アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー性皮膚炎に罹患すると、眼周囲への色素沈着が顕著となる。また喫煙者ではニコチンの血管収縮作用、ビタミンC破壊作用、さらに暗色タール成分の影響で、色素沈着を起こすことが示されれている。(13,14)

外科的治療対象となる目の下のくま(クマ)と、外科的治療対象となり得ない皮膚自体の色素沈着の鑑別診断は、目の下のくま(クマ)症状だけではなく、上眼瞼皮膚の色素状態を観察することでなされる。つまり、上眼瞼皮膚に色素沈着が顕著ではない場合、下眼瞼皮膚の暗色調はその色素沈着が主な原因とは言えず、上述の如く、下垂した下眼瞼皮膚の影響による見せかけの陰影が目の下のくま(クマ)を形成している可能性が高い。一方、 上眼瞼皮膚に色素新着を伴う場合、目の下のくま(クマ)は、 見せかけの陰影のみならず、 皮膚炎や喫煙をによる本当の色素沈着が重複していると思われる。

色素沈着が原因の目の下のくま(クマ)は、外科的療法のみでは完治しないことがあり、さらなる症状改善には皮膚漂白作用のあるビタミンC内服やスキンケア(ハイドロキノロン、ビタミンC塗布など)、皮膚色素を軽減させるレーザー照射療法などが必要となる。(15)

だがその治療効果は緩徐であるから、根気強く繰り返して治療に望む必要がある。また眼周囲の色素沈着の背景にあるアレルギー性皮膚炎自体の治療や、喫煙習慣のある方の場合、直ちに禁煙することが、根本的解決に直結することは言うまでもない。

これまでに述べてきたように、目の下のくま(クマ)とたるみ治療は、各々の症状について、それらの原因の優先順位を的確に判断した上で、治療手技を改変させる必要がある。だが原則的にどちらの治療においても用いられる治療技術はほぼ同一であり、その根本となる手技を習得すると、ほぼすべての目の下のくま(クマ)、たるみ症例を解決できるであろう。

Posted on | 3月 5, 2012 | No Comments

目の下のくま(クマ)、たるみに対する結膜面アプローチによる下眼瞼形成術の治療成績-4

考察

目の下のたるみの原因とその治療の詳細

従来まで目の下のくま(クマ)、たるみ解消のための治療は、多くの症例で眉毛直下皮膚切開法が用いられていた。だが、目の下のくま(クマ)とたるみは、同じ原因で発症しているとは限らないので、その治療法はそれぞれの原因に応じて異なるべきである。(9)

一般的に目の下のたるみは、加齢に伴う下眼瞼支持組織の弛緩による下眼窩脂肪の前方脱出がその主たる原因とされる。したがってこの症状は下眼窩脂肪の量が多い北方モンゴロイド系の遺伝子を有した東洋人に発症しやすいと言われている。(1)

目の下のたるみ治療は、眼窩隔膜から前方に逸脱した大量の下眼窩脂肪を軽減させるための、いわゆる”脱脂法”が主体となる。脱脂法は下眼瞼を反転させて下眼瞼結膜から進入し、逸脱した脂肪を摘出する手技をいう。下眼窩脂肪は内側、中央、外側と3部位に皮膜を伴い房状に並んでいる。

下眼窩脂肪摘出はこれらの3部位の解剖学的位置関係を肉眼下で確実に把握し、各々から均等に脱出脂肪を必要量摘出することが肝心である。解剖学的位置関係を把握することなしに盲目的に行うと、不均等な脱脂による下眼瞼の凹みや、それに伴う皮膚表面のしわ発生の可能性が生じる。(10,11,12)

これまで我が国で主流であった眼窩隔膜後方アプローチで脱脂すると、下眼窩脂肪後部の除去となり、目の下のたるみの直接的原因である下眼窩脂肪前方膨隆部の軽減を正確に調節しずらい。したがって、より熟達した技術を要するものの、Fig-2の如く、眼窩隔膜前方アプローチにて下眼窩脂肪前方膨隆部を適切に除去することが、良好な結果を得るのに極めて重要である。

目の下のたるみ治療の症例

次に当クリニックで行われた経結膜的下眼瞼形成術の治療例を提示する。Fig. 7-a,bは61歳、男性で、数十年来、目の下のたるみに悩まされていた。この症例の場合、たるみ症状は右>左だが、典型的な目の下のたるみ症例である。治療直後の写真Fig. 7-c,dでは局所麻酔剤に含有した血管収縮剤( 10万分の1アドレナリン)の影響で下眼瞼皮膚の白色化を認めるが、通常の場合、この症状は数時間で消退する。明らかな内出血や大きな腫れはなく無難に手術がしたことが分かる。Fig. 7-mの如く、摘出された下眼瞼脂肪量は中等度であり、右=左であった。

治療翌日の写真Fig. 7-e,fを観察すると、右>左の治療後の下眼瞼部位の腫脹を認めた。また左下眼瞼外側目尻部位に軽度の内出血による紫斑を認めた。治療1週間後Fig. 7-g,hを観察すると、下眼瞼部位の腫脹は解消されたが、下眼瞼直下の眼輪筋の慢性的腫脹を認めた。この状態は通常の場合、治療後3〜4週間程度継続し、その間いわゆるTear trough部位が深くなるため、下眼瞼皮膚の凹みとして認識されることが多い。だがこの下眼瞼皮膚の凹み症状はあくまで一時的で、治療1ヶ月後の写真Fig. 7-i,jを観察するとわかるように、眼輪筋の慢性的腫脹が収束すると、目の下の凹みは自然に解消されたことがわかる。

この時期、下眼瞼皮膚に軽度ちりめん皺を認めるが、この症状はあくまで一時的であり、治療3ヶ月後の写真Fig. 7-k,lを見ると分かるように、ちりめん皺は経過とともに自然と解消去された。この時点での治療結果であるが、右下眼瞼に軽度たるみ残存によるTear troughを認めるものの、本人の主観的満足度が非常に高く、治療結果は良好として終了した。

治療前後の写真Fig. 7-a,bとFig. 7-k,lを比較すると明らかなように、目の下のたるみ症状ののみならず、上眼瞼の凹みや軽度眼瞼下垂傾向の改善が得られた。こういった上眼瞼症状の改善機序についてだが、下眼瞼脂肪の前方突出を改善した結果、加齢に伴う眼球上転傾向が修復された二次的作用が予想される。

従来まで、中高年層で目の下のたるみ症状が強い症例では、経結膜的下眼瞼形成術を行っても、皮膚自体の緩みがあるため、余剰皮膚を切開除去しなければ良好な治療結果がえられないとされていた。だがこの治療症例からも明らかなように、中高年層で目の下のたるみ症状が強い症例でも、適切な治療を行うと、皮膚切開なしに経結膜的下眼瞼形成術で十分良好な結果が得られることが実証された。それは下眼瞼皮膚を皮下組織から解離させることで、改変された下眼瞼構造に合わせて、下眼瞼皮膚自体が自然に収縮するためである。

Fig. 7(左から順番にa,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m)

Fig. 7-a,b

61 year old male. Preoperative front and enlarged view around the eye. Eye bag was prominent.

Fig. 7-c,d

Immediately after the operation. No internal bleeding and swelling was minimal.

Fig. 7-e,f

One day after the operation. Swelling of lower eyelid was remarkable.

Fig. 7-g,h

One week after the operation. Temporal depression of lower eyelid skin was recognized. This was caused by marked swelling of orbicularis oculi muscle.

Fig. 7-i,j

One month  after the operation. Depression of lower eyelid skin was improved.

Fig. 7-k,l

Three months after the operation. Chronic swelling of lower eyelid was completely eliminated. Excellent result was achieved. No skin care intervention was needed to the end.

Fig. 7-m

A large amount of lower orbital fat was extirpated.

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Posted on | 2月 29, 2012 | No Comments

目の下のくま(クマ)、たるみに対する結膜面アプローチによる下眼瞼形成術の治療成績-3

結果


再診患者200名の主観的満足度はFig-3に示される如く、全体数の28% で大変満足、56% で満足、13%でおおむね良好、3%で不満足との結果が得られた。大変満足、満足、おおむね良好群で、治療結果に満足した理由を尋ねると、”長年劣等感となっていた目の下のくま(クマ)、たるみが大幅に解消した”とのことだった。満足程度の差異は、得られた結果が期待以上であれば大変満足、期待通りであれば満足、満足はしているものの期待以下であった場合、おおむね良好となっていた。不満足群は、治療後に何らかの不具合が生じた場合や、得られた結果が期待以下の場合であった。

Fig-3

fig-3


治療後一ヶ月後に来院した再診患者200名を調査した結果、治療後の合併症としてFig-4の如く、下眼瞼皮膚や眼球白膜への内出血(2%)、下眼瞼皮膚のしわ(8%)、へこみ(5%)、黒ずみ(色素沈着)(10%)が発生した。内出血は治療後7〜14日程度で解消された。しわ、へこみ、黒ずみは治療後2〜3ヶ月で自然回復する例がほとんどだった。だが慢性皮膚炎や喫煙習慣のある患者では、下眼瞼色素沈着は治療後、長期時間が経過してもそのまま残存していた。

Fig-4

complications

治療後下眼瞼に発生した凹みは、下眼瞼眼輪筋部の慢性腫脹が主な原因であり、一時的な症状であし、治療後2〜3ヶ月程度で自然に回復することがほとんどであった。だがFig-5のように、早期回復を求める患者14名に対して、治療1ヶ月後にヒアルロン酸を少量下眼瞼の凹んだ部位注入し、その症状を改善した。しかし、慢性腫脹が完全に消退する治療3ヶ月後以降、注入したヒアルロン酸は不必要となり、皮膚面に表出してくる症例があり、そういった場合、ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼを用いて溶解させる必要があった。また治療3ヶ月程度が経過しても、いわゆる”nasojugal groove”(眼瞼内側から外側下方に伸びるハの字の溝)が残存した5例で、本人の希望により自己脂肪細胞を大腿部や腹部より採取し、”nasojugal groove”に注入して症状の改善を図ったところ、良好な結果が得られた。(8)

Fig-5

revision

次に、他院で行われた症例の再治療例について検討する。Fig- 6で示されるように6名で下眼瞼眉毛直下皮膚切開法が用いられていた。また7名で経結膜的下眼瞼形成術が行われていた。前者群では下眼瞼余剰皮膚は十分に除去されていたが、下眼瞼脂肪の前方脱出による膨隆症状や、治療の不具合によるしわが発生していた。後者では治療が行われたにもかかわらず、症状の残存を認めていた。これらのすべての症例に対して、当院では皮膚切開法を用いず、経結膜的下眼瞼形成術にて症状の改善を図り、良好な結果を得た。眼球や視力への機能的影響は全くなかった。また、皮膚切開法の際に発生する危険性のある下眼瞼外反は傷跡の残存も皆無であった。

Fig-6

Fig-6

Posted on | 2月 16, 2012 | No Comments

目の下のくま(クマ)、たるみに対する結膜面アプローチによる下眼瞼形成術の治療成績-2

対象と方法

2007年4月1日から2008年3月31日までの1年間に、目の下のくま(クマ)、たるみ治療に訪れた1044名(女性936名、男性108名、平均年齢、41.2歳、範囲19−75歳、標準偏差9.88) の治療成績を分析した。

来院時に問診票を記載させ、治療目的、これまでの美容治療歴の有無を確認した。特に眼瞼周囲の治療歴がある場合は、治療年月日、治療法、治療回数等についてその詳細を記載した。 また、喫煙歴と眼瞼周囲の色素沈着の強い相関関係より、現在、過去の喫煙歴の詳細を確認した。糖尿病、高血圧、感染症など治療やその回復に影響を及ぼす病歴についてもスクリーニングを行った。診察は座位にて下眼瞼の診察を行い、その際、下眼瞼脂肪量、下眼瞼皮膚色素沈着及びしわの有無、その左右差を調べた。

治療前に背景を青色とた壁の前に座位で姿勢を正し、室内灯のみでフラッシュを用いずに顔正面と目元拡大の2枚の写真撮影を行った。治療後に訪れた再診の患者さんにも同様の条件で写真撮影を行った。

日本美容外科学会で推奨するインフォームドコンセントに基づいて、治療を受ける患者さんに治療の目的、回復までの経過、合併症や後遺症の可能性等についてその詳細を説明した上で、原本とその複写に署名をもらった時点で治療契約の成立とした。(6)

手術は仰臥位にて鎮静剤(セルシン10mg)を静注し、沈静化をはかった上で局所麻酔として下眼瞼に1%キシロカイン(10万分の1アドレナリン)を片側3〜6mlを注入し、麻酔が効力を発揮するまで5分程度経過してから治療を行った。下眼瞼粘膜の進入は高周波レーザーメス(エレマン社)を用い、出力27J にて水平方向に割を入れ、下眼瞼遠位端に向かって剥離を行った。進入はFig-2の如く、隔膜前方アプローチ法を用いた。(7)

Fig-2

論文用

下眼瞼内側から外側まで隔膜(Septum)を露出させ、そこから膨隆する下眼瞼脂肪をペアン鉗子で保持しながら余剰部位を随時切除した。 下眼瞼皮膚が良好な位置に挙上するよう 真皮と下眼瞼脂肪組織を結合させるLockwood suspension ligament等を皮下組織から解離した。血管叢の多い下眼瞼内側脂肪と外側眼窩底部の止血を入念に行い、完全止血を確認した。下眼瞼結膜面は縫合せず開放創とし、粘膜面が反転しないよう、粘膜面が遠位、近位端で確実に整合しているのを確認して手術を終了とした。

治療後は目元をアイスノンで冷やしながら、1〜2時間程度安静にさせた。治療後処方はセフェム系抗生物質入り点眼薬1本を一日2~3回、5日間ほど注すこととセフェム系抗生物質内服薬を3日間服用するように指示した。

治療結果の分析は、治療約1ヶ月後に訪れた再診患者300名を抽出した。これらの患者に治療前後の写真を確認させた上で、満足度をチャートに記載させて満足度を評価した。合併症や問題点は、治療を行った医師による医学的見地に基づいて評価した。


Posted on | 1月 11, 2012 | No Comments

目の下のくま(クマ)、たるみに対する結膜面アプローチによる下眼瞼形成術の治療成績-1

我々は老眼の発症をもって、老いを感じざる得なくなことが一般的である。老化現象として視力が衰えると同様に、外見上の老化も眼周囲に初発することが一般的である。東洋人の場合、寒さから眼球を保護するために、眼周囲に厚い脂肪組織が覆っていると報告されている(1)。眼周囲脂肪は加齢とともに、その容量や位置(ポジショニング)が変化するため、この現象により若年時代とは違った外見上の変化、すなわち老いの兆候が目元に出現し始める。

眼窩周囲脂肪は上眼瞼脂肪と下眼瞼脂肪から構成される。上眼瞼脂肪は加齢ともに縮小すると言われるが、下眼瞼脂肪は必ずしも加齢とともに萎縮せず、むしろ膨張する場合が多い。下眼瞼脂肪の膨隆は、いかにも下眼瞼皮膚が下垂したかの如く、典型的な外見上の老化兆候として認識され、この症状はいわゆる”目の下のたるみ”として客観的にも明らかとなる。

これらの原因は、高密度組織である眼球組織の荷重と、下眼瞼支持組織であるLockwood suspension ligament や下眼瞼皮膚、眼輪筋、眼窩隔膜等の加齢に伴う弛緩が原因とされる(2)。すなわちこれらの複合的要因により、下眼瞼脂肪がヘルニア状態となり、下眼瞼皮膚前部方向に逸脱することで目の下のたるみを形成し、この状態が不可逆的となる。

さらに東洋人の場合、下眼瞼組織構造の不具合によって、下眼瞼皮膚色素や影を強調させる、いわゆる”目の下のくま(クマ)”症状が発症することがある。目の下のくま(クマ)は必ずしも加齢に伴う下眼瞼脂肪の前方突出がその直接原因ではないため、比較的若年層から発症することが少なくない。この症状はLockwood suspension ligament 等の下眼瞼支持組織が皮膚を下垂位に固着させていることがその主な原因であるため、これらの支持組織を解離し、皮膚を挙上させることで、目の下のくま(クマ)症状を大幅に解消することが可能である。

当クリニックにおいて2007年4月1日から2008年3月31日までの1年間に、目の下のくま(クマ)、たるみに対して行った1044名(女性936名、男性108名、平均年齢、41.2歳、範囲19−75歳、標準偏差9.88) の下眼瞼形成術について、統計的分析を用いた上で、その治療成績を検証する。

key word: 下眼瞼脂肪 目の下のたるみ 目の下のくま(クマ)Lockwood suspension ligament 眼窩隔膜 elective surgery

はじめに:

外傷や疾病治療、疼痛緩和、そして救急処置を目的に行う一般医療の場合、時としてその治療は一刻を争うものであり、救命最優先にして必要な処置を選択せねばならない。例えば急性発症心筋梗塞にて手術しか救命の方法がない場合、直ちに開胸手技を行わねばならず、手術後に大きく残存する傷跡について論議する余地はない。だが美容外科治療は、こういった救命最優先とする一般医療と異なり、いわゆる”elective surgery(随意意志による手術)であるため、安全、確実、早期回復が保証されるなければならない。

従来、わが国における目の下のくま(クマ)、たるみ手術は、下眼瞼眉毛直下皮膚切開を用いて行うことが一般的であった。その理由は、これの症状の責任が下眼瞼脂肪や下眼瞼構造の不具合よりも、むしろ皮膚自体にあると認識されてきたからである。また下眼瞼形成術を行う際、皮膚切開アプローチの方が結膜面アプローチよりも手技的に容易なことも、皮膚切開プローチが従来まで主流であったもう一つの要因でもある(3,4,5)。

だが臨床の場で、目の下のくま(クマ)、たるみ治療を希望する患者に下眼瞼皮膚切開法を勧めても、大半の人が傷跡などの後遺症発生の可能性を危惧し、治療をためらうことが少なくない。その理由は先述の如く美容外科手術は救命を伴わない、いわゆる”elective surgery(随意意志による手術)であるため、患者たちは後遺症の発症する可能性のある手技を本能的に回避するからであろう。

当クリニックでは、原則的にすべての下眼瞼形成術に結膜面からのアプローチを行い、ほぼ良好な結果を得ることに成功した。またこの手法が認知されるにつれ、治療を求める顧客はFig-1の如く全国から当クリニックに訪れるようになった。

この事実は、当クリニックの皮膚切開法を用いない治療が普及するまで、下眼瞼皮膚切開法のみしか目の下の(クマ)、たるみを改善する手段がなく、治療をためらっていた患者さんたちがいかに多数いたかを示すことになった。以下にこの手法の結果について統計学的手法を含めた分析を行い、その有効性を示す。

Fig-1

論文fig-1

Posted on | 12月 17, 2011 | No Comments

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