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目の上 たるみの最近のブログ記事

症例:59歳 男性

経過:

従来より下眼瞼(目の下)のたるみ、最近になって上眼瞼のたるみ(上眼瞼下垂症状)が気になっていた。こういった知識がない本人は綿密なインターネット検索の結果当クリニックの存在を知り、症状改善の可能性を求めて来院した。

診察:

症状(写真-1)を上部から観察すると、上眼瞼陥没、軽度の眼瞼下垂症、中等度の下眼瞼たるみ症状を認める。上眼瞼下垂症の診断は、眼球動向をやや上眼瞼を覆う状態から軽度眼瞼下垂症と診断した。その症状はやや右>左である。

次に下眼瞼症状を観察すると、典型的な下眼窩脂肪突出による目の下のたるみ(buggy eyelids)が存在すし、症状は右<左である。このbaggy eyelidsによって下眼瞼皮膚色素が強調され、いわゆる目の下のクマ(くま)も目立つ状態である。

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写真-1(治療前)

治療後評価:

上眼瞼下垂症状は下眼窩脂肪膨隆(buggy eyelids)症状がその一因として考えられること、また本人の希望により、最初に下眼瞼症状(目の下のたるみ)改善のための経結膜的下眼瞼形成術から行った。

治療7日後の写真-2を観察すると治療後の腫れはほぼ解消されたものの、左目周囲に軽度内出血が残存している。下眼窩治療は下眼窩内側〜外側まで包括的に行うので、このように内出血が下眼窩内側から外側、さらに上眼瞼まで波及することがある。通常この内出血は治療後10日程度で解消される。

摘出された下眼窩余剰脂肪(写真-3)を観察するとその量は右<左で症状と矛盾せず、下眼窩膨隆症状は適切に処置されたことがわかる。

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写真-2(治療7日後)

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写真-3(下眼窩摘出脂肪)

写真-4の如く下眼瞼治療後1年6ヶ月が経過、症状固定(最終治療結果)に至り、治療前に比べて目の下のたるみ、クマ(くま)症状は大幅に改善された。右下眼瞼に軽度たるみ症状が残存するが、その原因は前回治療において下眼瞼凹み等予防を最優先に治療を行ったため下眼窩脂肪が軽度残存したことによる。だが患者はこの症状はあまり気にしていないため、このまま様子をみることとした。

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写真-4(下眼瞼治療1年6ヶ月後及び上眼瞼下垂治療前)

今回の治療は以前から存在した両上眼瞼下垂症を対象とした。1年6か月前の下眼瞼治療以前(写真-1)と比較すると、治療後の現在(写真-4)、ある程度上眼瞼下垂症状が改善されている。その理由は上眼瞼下垂の一因が下眼瞼構造の不具合なので、下眼瞼治療によりその不具合が解消された結果、上眼瞼下垂症状がある程度解消された。

上眼瞼下垂症に対する治療は上眼瞼挙筋短縮術を行った。この手術は上眼瞼二重線に切開を加えた後、眼輪筋に平行切開・侵入し上眼窩隔壁に到達する。さらに上眼窩隔壁内に切開侵入し、眼瞼挙筋を同定する。次に弛緩した眼瞼挙筋遠位端と上眼瞼腱板を短縮縫合し、眼瞼下垂改善を確認する。その際、眼瞼下垂の一因である余剰皮膚及び上眼窩脂肪を適切に除去することも大切である。最後に上眼瞼皮膚縫合を行い治療を終了する。

上記治療7日後(写真-5)を見ると両眼窩周囲の内出血、左目では上眼瞼二重幅の著しい腫脹を認めている。上眼瞼から摘出された余剰皮膚と脂肪(写真-6)を確認するとその量は右>左で症状と矛盾していない。

眼瞼下垂治療(眼瞼挙筋前転術)が適切に行われた初期サイン(兆候)は両上眼瞼陥没症状の解消だが、本症例でもすでにその初期サイン(兆候)認められた。

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写真-5(上眼瞼下垂症治療7日後)

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写真-6(上眼瞼から摘出された余剰皮膚と脂肪)

両上眼瞼下垂症治療後1か月が経過し、眼瞼下垂症状は良好に解消され、患者満足度もこの時点で非常に高いものとなった。(写真-7)

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写真-7(上眼瞼下垂治療1ヶ月後)

だが治療4ヶ月後、本人は左目の開眼が右目に比べてやや劣ることが気になり、左目再治療を強く望んだので左目上眼瞼下垂再治療を行うこととした。(写真-8)

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写真-8(上眼瞼下垂治療4ヶ月後)

1度目に比べ治療侵襲が軽微なため、抜糸時(治療8日後)でもその腫れは少ない。(写真-9)

初期治療にてほぼ自然な結果が得られていたため、今回の再治療では眼瞼挙筋前転量も控えめとし、左上眼瞼のみが過剰矯正に陥らないことを最優先として治療を行った。

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写真-9(上眼瞼下垂再治療後8日後)

再治療後7ヶ月経過時点での写真を確認すると、今回の再治療では左眼瞼挙筋前転量も軽微であったため、得られた治療結果も比較的軽度であった。(写真-10)

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写真-10(上眼瞼下垂再治療7ヶ月後)

だがこの患者の場合、左上眼瞼下垂症状へのこだわりが大変強く、もしさらなる改善が望めるのであれば、最後にもう一度左上眼瞼の治療を希望した。このような症例の場合、治療を拒絶するのも一案であるが、患者の治療への理解、認知・良識も問題なく、医師との信頼関係は十分にあったので、今回の治療を最後と確約した上で左上眼瞼下垂再々治療を行った。

治療は余剰皮膚切除を中心に行い、眼瞼挙筋前転は確認程度とし、ほとんど行わなかった。(写真-11、写真-12)

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写真-11(上眼瞼下垂再々治療7日後)

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写真-12(上眼瞼下垂再々治療時の余剰皮膚)

最終的に左上眼瞼は3度治療を行ったため、左二重幅は治療1ヶ月が経過しても慢性的腫脹が継続している。(写真-13)

だが本人はすでに複数回治療を行った経験から遷延する経過に熟知しているせいか、不安等を感じることなく現状にすでに満足していた。このように上眼瞼下垂治療は大変デリケートな治療であり、必ずしも1度の治療で解決するとは限らない。患者ー医師信頼関係を構築した上で、過矯正を確実に予防するため、今回の如く必要であれば再治療することを念頭に置くべきであろう。

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写真-13(上眼瞼下垂再々治療1ヶ月後)

1.仰臥位で眉毛を軽く上に持ち上げながら、座位で行ったデザインを再確認します。眉毛に平行に引いた線は切開線です。また眉毛に垂直に引いた線は、埋没糸を用いた二重形成法のデザインです。

2.作成予定の二重幅やそのバランス考慮しながら、実際に定規でその幅を計測し、左右差がないことなどを再確認します。

3.最終決定したデザイン上にマーカーでラインを書き加えると同時に切開のイメージを作ります。

4.上眼瞼外側部から局所麻酔注入を開始します(片側3~6ml)。同部位には毛細血管が多いので、注意しながら出来るだけ内出血させないよう、細心の注意を払いながら注入します。

5.15番メスにてデザインしたマーカー上で内側から外側に向けて、メス刃を垂直に保ちながら一気に加刀します。

6.切開線上の毛細血管をバイポーラー鉗子で迅速に止血します。

7.上眼瞼進入部位を頭尾側に展開するため、切開線の左右バランスの取れた位置に7-0ナイロン糸をかけます。

8.上眼瞼展開糸をペアン鉗子で挟み固定し、広く安定した術野を確保した上で、高周波端子で眼輪筋を切開します。

9.眼窩隔膜(Septum)に到達したら、その外表の一部をペアン鉗子で挟み、切離します。

10.切離された 眼窩隔膜(Septum)の毛細血管をバイポーラー鉗子で止血し、無血の視野を維持します。

11.上眼瞼切開上部をデマル鉤で把持しながら、切離された隔膜を剪刀で左右に開きます。

12. 眼窩隔膜(Septum)内の上眼窩脂肪が同切離部から自然に逸脱します。

13.左右に2層構造となった上眼窩脂肪を鑷子で頭側に引き上げてその全体量を確認します。

14.上眼窩脂肪が 眼窩隔膜(Septum) 開口部から自然に逸脱する部位を適切に切除します。

15.上眼瞼の頭尾側・左右方向をデマル鉤で展開し、余剰上眼窩脂肪の取り残しや出血がないことを確認します。

16.二重埋没法へ向けて表面麻酔点眼液を差します。

17.上眼瞼をピンセットで反転し、粘膜面に局所麻酔剤(1ml)を注入します。

18.上眼瞼瞼板境界部に7-0ナイロン糸をかけます。

19.この糸を裏面から外表まで通します。

20.この操作を再度繰り返します。

21.この操作により、埋没糸を結膜側瞼板粘膜境界部に把持させます。

22.ブジーを介して糸を結紮します。ブジーは埋没縫合糸があまりきつく結紮されないよう、"遊び"を残すために用います。埋没糸をきつく結紮すると、治療後の腫れが長期化したり、二重が深く形成されることを予防するためです。

23.同様の操作を上眼瞼内・中央・外側の3箇所に行います。

24.埋没糸を結び目のみを残して切除します。

25.両端にキースーチャーをかけペアン鉗子で左右側に緊張をかけます。この操作により、皮膚縫合面がより正確となります。

26.切開線を7-0黒ナイロン糸で端端縫合します。

27.皮膚縫合後キースーチャーをはずし、治療を終了します。

目の上のたるみ治療について