GINZA CUVO

2012年5月アーカイブ

対象と方法-2

下眼瞼結膜面を広く展開するため、Fig-1の如く下眼瞼腱板遠位端及び下眼瞼結膜面遠位端双方の中心部に7-0ナイロン糸をかけ、この糸をペアン鉗子で支持し、閉眼させた上でこれらの糸を眼瞼上下方向に牽引固定した。また上眼瞼睫毛が長い場合や、睫毛にエクステンションと呼ばれる人工睫毛を装着している場合は、3Mテープにて睫毛等を反転固定した。

Fig-1

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結膜面の進入は、バイポーラーにて表面毛細血管を凝固させてから、高周波(ラジオ波)数(エレマン社製造)単極針メスを用いて行った。その際、眼球は写真の如く、眼球結膜遠位部にかけた糸で、同部位を上瞼に覆い被せ、手術操作始終、確実に保護されていることを確認した。

高周波数メスによる進入は、下眼瞼腱板縁の内側遠位端から約5mmの位置で、内側から外側に向かって水平方向に10mmほど切開した。 助手に筋鉤で眼輪筋を含んだ皮下組織及び皮膚を上方に温存しながらFig-2の如く、隔膜前方眼窩骨下縁に向かって剥離を進めた。

眼窩隔膜を内側から外側まで露出させた後、眼球に軽度圧迫を加え、上方に突出する下眼窩脂肪部位を、眼窩隔膜を含めてペアン鉗子で把持し、剥離剪刀にて切除した後、その遠位端をバイポーラにて焼灼凝固した。この操作を丁寧に繰り返しながら、少量ずつ余剰下眼窩脂肪を摘出しながら、下眼瞼の平坦化を図った。

眼窩隔膜から起始し、下眼窩脂肪内を水平外側方向に走行して眼窩底外側に停止するLockwood靱帯は、下眼瞼脂肪中央部と外側部を区別する指標とした。外側下眼瞼脂肪が顕著に発達している症例では、Lockwood靱帯の眼窩底外側接合部を高周波数メスで解離し、同靱帯による外側眼窩脂肪の強固な固定を弛緩させた。

内側下眼窩脂肪の同定は、他部位の眼窩脂肪より白色調が強いので容易に同定された。中央部と外側下眼窩脂肪は、ほぼ同一組織から構成され、色素による同定は困難であったが、Lockwood靱帯より内側にある部位を中央部、それより外側にある下眼窩脂肪を外側部と同定した。

Lockwood靱帯の解離後、自由度の増した外側眼窩脂肪の突出部位を同定し、同部位を適切に除去した。自由度のある余剰下眼窩脂肪の同定は、鉗子でこれらの脂肪を把持した上で上方に引き上げ、下眼窩脂肪可動部位を適切に除去し、同部位の消失を確認した。

この時点で眼窩隔膜はほぼ除去されたが、眼窩隔膜の眼窩底下縁(Orbital Arcus)接合部を内側から外側まで解離することで、下眼窩脂肪から眼輪筋を含む皮下組織を切り離し、皮膚の自由度を獲得した。

これらの操作終了時、再度筋鉤を眼窩骨底部にかけ残存した下眼窩脂肪を左右上下一塊に確保しながら、完全止血を確認した。尚、止血操作は下眼窩脂肪のみならず、眼窩骨底内部から下眼窩脂肪に伸びる血管枝を骨上においても確実に行った。

次に下眼瞼結膜にかけたナイロン糸を外し、同部位粘膜の止血を行った。抗生物質含有点眼薬を差した後、反転させていた下瞼を元に戻し、下眼瞼結膜近位端と遠位端を合わせて治療を終了した。

治療直後から枕を高くしたリクライニング姿勢にて眼部をアイスノンで冷やしながら、 鎮静剤からの覚醒と局所麻酔の効果減衰を待つため、約 1時間ほど安静休養させた。1時間後、呼びかけへの反応にて鎮静剤の覚醒を確認した。鎮静剤から覚醒が不十分な症例では、自立歩行が可能となるまで、さらに休養させた。

その後、下眼瞼組織の局所麻酔剤の減弱は、正常な開眼と眼球運動にて確認した。治療1時間後では、依然局所麻酔効果が持続しており、局所麻酔の外眼筋への影響で複視を訴えたり、複視が原因で自立歩行困難な場合はさらに休息させた。

帰宅を急ぐ患者さんは、複視による帰宅時の弊害を解消させるため、局所麻酔効果が完全に消失するまで眼帯装用にて帰宅させた。治療結果の判定は治療1ヶ月後に経過診察に来院させ、治療前と同条件で写真撮影を行い、比較検討した。


銀座CUVOクリニック目の下のたるみ治療詳細

銀座CUVOクリニック目の下のくま治療詳細

 

対象と方法-1

いわゆる"目の下のくま(クマ)、たるみ"解消を求めて当クリニックを訪れた患者さんに問診票を記載させ、その記載内容を確認しながら診察を行った。その際、これらの症状の出現時期や治療歴の有無を確認した。さらに、上記症状以外に対する過去の美容治療や、全身に関する既往歴の有無を問診、確認した。2011年4月から2012年3月までの期間中に、" 目の下のくま(クマ)とたるみ"症状のみならず、上眼瞼下垂症状を訴えた15例を選択した。

" 目の下のくま(クマ)とたるみ"症状の所見としては、下眼瞼脂肪量の大きさ、左右差、その位置を把握した。特に外側過剰脂肪脂肪の有無は個人差があるので、注意深く同定した。尚、下眼瞼過剰脂肪量やその位置の同定は、患者を座位にて上方注視させ、この動作による眼球上転運動で、下眼窩脂肪が最大限、前方突出するよう促した状態で行った。

上眼瞼下垂はその診断基準に従い、瞳孔から上瞼までの距離が35mm以下の場合となっているが、上瞼が瞳孔状異端を軽く覆う状態を軽度、瞳孔上端から中心部以上覆う場合を中等度、瞳孔中心部からその下部を覆う場合を重度とした。本研究で選択した"目の下のくま(クマ)、たるみ"に併発した眼瞼下垂症例は、すべて軽度眼瞼下垂症と診断した症例を選択した。これらの患者さんに、日本美容外科学会推奨のインフォームドコンセントにて、治療目的、回復経過、合併症や後遺症の可能性についてその詳細を説明した。このインフォームドコンセントに患者さんから署名を得た上で、治療への同意を確認し、治療を行うこととした。

治療前写真は正面と目元拡大写真を昼光の元、照明による陰影形成とその影響による下眼瞼症状の強調が起こらぬよう配慮して撮影した。次に患者さんを診察時と同様、座位上方注視させ、下眼瞼脂肪を同定した上で、下眼瞼皮膚にデザイン・マーキングを行った。このマーキングを手術時に結膜面から進入と、剥離を進める際のその範囲同定の指標とした。

その後、患者さんを仰臥位にしてから鎮静剤(セルシン10mg)を静注し、沈静化を図った。尚、治療前血圧が拡張期血圧が100mmHg以上、もしくは収縮期血圧が150mmHg以上の状態が安静、仰臥位にて5分以上経過しても継続した場合は、カルシウム拮抗剤(ニカルジピン塩酸塩)5mgを静注した。しばらくしてから再度血圧測定を行い、原則的に拡張期血圧が90mmHg以下、収縮期血圧が140mmHg以下に降下したことを確認して次の操作を行うこととした。局所麻酔は下眼瞼に1%キシロカイン(10万分の1アドレナリン含有)を片側3〜6mlづつ注入し、麻酔効力が発揮するまで5分程度待ち、完全無痛を確認してから執刀を開始した。


目の下のたるみ治療について

目の下のくま治療について

 

経結膜的下眼瞼形成術に伴う眼瞼下垂様症状の改善

久保隆之

Key Word: lower orbital fat, baggy eyelid, blepharoptosis, Lockwood suspension ligament

東洋人の多くに過剰な下眼窩脂肪の存在が報告されており、加齢に伴うこの脂肪支持組織の弛緩により、下眼窩脂肪が前方突出する。この症状がいわゆる baggy eyelidと呼ばれる状態で、目の下のたるみといった老化兆候として認識されやすくなる。また若年層で、下眼窩脂肪前方突出が顕著でなくとも、下眼瞼構造の不具合で、下眼瞼皮膚の下垂位により下眼瞼色素が強調された、いわゆる目の下のくま(クマ)症状を発症することが少なくない。これらの多くの目の下のくま(クマ)、たるみ症例を注意深く観察すると、上眼瞼の凹みや軽度眼瞼下垂症状を併発している場合が多い。目の下のくま(クマ)、たるみ解消を目的とした下眼瞼形成術を適切に行うと、これらの症状の改善ならず、上眼瞼の凹みや眼瞼下垂症が改善する例が多かった。


Abstract

Ptosis Improvement after the Transconjunctival Lower Bleparoplasty

Takayuki Kubo M.D. Ph.D

Ginza CUVO Clinic

Japanese population has been known to inherit multiple kind of genes from various part of the world. Most Japanese poses the gene from mongoloid population more or less, which has a role to comprise relatively a large amount of lower orbital fat. This fat was explained to protect eye balls from cold climate in ancient time. On the other hand, Japanese who has a gene from southern asian population who use to inhabit in walm climate has less amount of lower orbital fat and small orbital structure containing it.

In case someone inherits an abundant amount of lower orbital fat from mongolian origin and small orbit capacity from southern asian population, this mismatch will bring about baggy eyelid because this excessive fat has no space to be placed. And also, tear trough appearance might be emphasized due to ptotic lower eyelid skin caused by unnecessary anatomical structure underneath it, which is created by genetic mismatch as explained above.

Among numerous cases of lower eyelid treatment, it was found that certain number of patients developed blepharoptosis tendency or narrowing of eye fissure. However, those symptoms seem to be improved after the transconjunctival blepharoplasty. Specific cases of blepharoptosis improvement with the transconjunctival blepharoplasty will be shown and also the mechanism of this improvement will be explained.


銀座キューヴォ・クリニック

〒104-0061東京都中央区銀座1丁目16−1 東貨ビル1F

TEL03-5159-6128

FAX03-5159-6126

はじめに

眼瞼下垂症は老人性、ハードコンタクトレンズを長期装用した際に生じる筋膜性が原因であることがほとんどだが、そういった明らかな原因がなくても発症する眼瞼下垂傾向を認めることがある。さらに眼瞼下垂症には腱膜性ではなく、上眼窩脂肪や余剰皮膚が瞳を覆う偽眼瞼下垂症もあり、原因別に明らかに分類することは予想以上に困難である。

当クリニックでは、いわゆる目の下のくま(クマ)、たるみ治療に来院した患者の中に眼瞼下垂症を併発している例が少なくなかった。こういった症例では経結膜的下眼瞼形成術を行うことで、眼瞼下垂症状の改善を認めた。この下眼瞼形成術によって、何故眼瞼下垂症状が軽快するのか、その推測も含めて具体例を示す。


目の下のくま治療について

目の下のたるみ治療について

Q:他院では目の下のクマ(くま)、たるみ改善には、いわ ゆる"脱脂"を行った上に、さらに脂肪注入、移植や、PRP{血小板多血漿(Platelet Rich Plasma)}注入をしないと良い結果が得られないと言われました。銀座キューヴォ・クリニックでは脂肪注入、移植や、PRP{血小板多血漿 (Platelet Rich Plasma)}注入を行っていないようですが、それでも良好な結果が得られるのでしょうか?

A:当クリニックで行う目の下のクマ(くま)、たるみ改善のための下眼瞼形成術では、原則的に脂肪注入、移植や、PRP注入を行っておりません。以下にその理由を説明いたします。

目の下のクマ(くま)、たるみは、下眼瞼構造の不具合が主原因です。まず目の下のたるみについてですが、この症状は遺伝的に下眼窩脂肪の多い方が、加齢に伴 う眼周囲支持組織の弛緩により、この脂肪の前方脱出が原因です。この場合、前方脱出した脂肪を適切に除去する、いわゆる"脱脂"治療を行うと、良好な結果 が得られます。

また目の下のくま(クマ)は、下眼瞼皮膚が下垂し、同部位に黒っぽい陰影を形成する事が原因です。この場合、少量の脱脂と眼周囲支持組織解離による下眼瞼皮膚の剥離、挙上によって、症状は大幅に改善します。

症例よってたるみと くま( クマ)の割合は異なりますが、 この治療に訪れる方々は、目の下のたるみと くま(クマ)の原因の両要素を持っている場合がほとんどです。したがってその治療には、脱脂と下眼瞼皮膚の挙上、剥離の両方を適切に行うことが肝心です。

次 にこの治療に伴う脂肪注入、移植やPRP注入が必要かどうかについて述べたいと思います。脂肪注入、移植やPRP注入は、下眼瞼に凹みや皮膚のしわなど、 何らかの問題が発生した場合に必要になると考えられます。こういった問題は、不適切な治療が原因で発症すると思われますが、当クリニックでは最初からこう いった問題が起こらない治療をすることを大前提としております。

ま ず最初に脂肪注入、移植ですが、この処置が必要の無い理由は、下眼瞼形成術において、脱脂を優先するのではなく、皮膚挙上操作を優先的にしたことで、摘出 脂肪量を最小限とすることが可能となったからです。この方針により、治療の最優先事項が脂肪の過剰切除による凹みやしわなどの弊害を確実に回避出来るよう になりました。

特に目頭よりの内側下眼瞼脂肪を過剰切除しないことが、下眼瞼の凹み回避には極めて有効であることがわかり、現在ではこの部位の脂肪除去は極力避けるようにした結果、脂肪注入、移植をしなくとも、確実に凹み等の問題は回避されています。(図-1)

逆に、図-1中段イラストの如く、内側下眼瞼脂肪のみを除去すると凹みが生じる危険性を伴います。この治療で一番配慮すべき点は、この内側下眼瞼脂肪を出来るだけ残すことです。そして図-1下段イラストの如く、下眼瞼を左右一様に平坦化することが極めて重要です。

この治療の経験に乏しい外科医が、容易にアプローチ出来る内側脂肪を優先的に除去する時に凹みなどの問題が生じる可能性があります。したがって下眼瞼形成術は、豊富な治療経験を有した外科医が行うべき専門的治療なのです。

私の行う下眼瞼形成術では、脂肪除去量を最小限とすることで、脂肪が本来保持する弾力性、ならびに柔らかさを十分に生かすため、多部位から採取した脂肪を移植、注入しなくとも、良好な結果が得られるのです。


図-1

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銀座CUVOクリニック目の下のくま治療について

銀座CUVOクリニック目の下のたるみ治療について



次にPRP注入についてですが、この治療は図-2の如くPRPに含まれる成長因子の働きで下眼瞼皮膚にハリを与え、しわ等を改善する治療です。私の行う治療では下眼瞼皮下組織にレーザー照射し、広汎に皮下剥離を行います。

その結果、図 -2の如く皮下照射したレーザー熱エネルギーによる創傷治癒過程で、この部位にマクロファージやリンパ球などの炎症性細胞が集積します。これらの炎症性細 胞からは、PRPに含まれるのと同様の成長因子が十分に放出されます。こういった炎症細胞から放出される成長因子のおかげで、治療後の下眼瞼皮膚はPRP を注入しなくとも、十分に若々しい皮膚が再生されるのです。


図-2

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以上が私が目の下のクマ(くま)、たるみ改善のために行う下眼瞼形成術にお いて脂肪注入、移植やPRPを行わなくとも、十分に良好な結果が得られる主な理由です。また、そういった処置が必要なのは稀なので、最初から不必要な処置 をすることなく、万が一必要な場合のみ行うべきでしょう。このことが常に良好な結果を得るための、いわゆる"シンプル・イズ・ザ・ベスト"と呼ばれる外科 手術の鉄則に準じているのです。