GINZA CUVO

2009年11月アーカイブ

はじめに 私にとって美容外科医を始めてから10年目の今年、 中国、大連で行われた2日間の顔面解剖実習に参加した。外科医としてそろそろ折り返し地点を迎えたと思われるこの時期に行った解剖実習は、大変実り多いものとなった。解剖実習と言うと、今から20年以上前、医学生時代に行った人体解剖実習を思い出す。当時は解剖学試験に合格するためだけに筋肉や臓器の名前をひたすら暗記した辛いお思い出だけが残っている。だが、"木を見て森を見ず"ということわざがあるように、ただ人体構造の名前を丸暗記してもあまり意味がなく、せっかく憶えてもすぐに忘れてしまう。一つ一つの器官の名称を細かく憶えるよりも、人体という統合された存在において、おのおのの器官の役割を先に知る必要がある。もしくは、病気や事故など人体に不具合が起きた場合、人体の解剖を知ることは単なる名称の暗記ではなく、その不具合を解消するための手がかりや外科的手法として筆世不可欠なものとなる。 例えば、外科医が癌を取り除く際、健康な組織は出来るだけ温存すべきで、無駄な損傷は避けなければならない。だから、私は臨床医を始めるやいなや、もう一度人体解剖をする機会がもてたらどれほど役立つだろうと常日頃思っていた。特に美容外科では健康体を扱うため、なおさら低侵襲治療を行うよう、心がけるべきであり、神経損傷などの後遺症は決して起こしてはいけない。今回私がこの解剖実習に参加したのは、年々高まる美容外科治療のニーズに、出来る限り安全で適切な治療を行うため、顔面に関する解剖学的構造を再確認するためであった。私が専門とする顔面の治療は顔面神経など、重要な神経組織が顔の部位により、深さを変えて走行するため、3次元的レベルでその位置関係を正確に把握しておく必要がある。 美容外科の選択 大連での解剖実習についてのレポートを述べる前に、このような機会を得るに至った背景、つまり、私が何故、美容外科医を選択したかについて簡単に述べようと思う。ご存じの通り、医学は扱う疾患や部位により分別されている。例えば外科領域では、腹部臓器を扱う腹部外科、心臓を扱う循環器外科、脳を扱う脳神経外科、そし筋肉、神経、関節を扱う整形外科や、皮膚を含めた組織再建を行う形成外科などがある。私外科医となることを選択し、整形外科にて初期研修を行った。初期5年間の整形外科研修中に行った、首から下の整形外科手術を一通りこなし、その解剖学的構造にも熟知することが出来た。 外科医としての初期研修を終えると、自分の専門分野を選択することになる。私の場合、これまで経験したことのない、顔面領域の外科的治療に大変興味があった。顔面領域の外科は、主に形成外科や耳鼻咽喉科、眼科など部位別に細分化されている。それは顔面の構造が複雑であり、その取り扱いには高度な専門性が要求されるからに他ならない。整形外科医として初期研修を行った以上、再び形成外科等で初期研修を始めるのは重複する内容が多く効率的ではない。そう考えた私は、当時はどちらかというと特殊な分野と見なされていた美容外科に注目した。それは美容外科であれば、効率的に整形外科初期研修で習得した技術を生かしながら、顔面外科を包括的に学ぶことが出来ると判断したからだ。

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