ホーム > BLOG
美容医療、今後のあり方-6

7.社会貢献に向けた医療

保険診療は病人を治療するため、社会貢献のための医療として認識されやすい。 一方、美容医療は通常の保険診療と異なり、 いわゆる”病人”を扱うのではないので、ややもすると人助けより収益優先ビジネスと誤解されやすい。だが、容姿の悩みを持つ方に適切な治療を施し、そのコンプレックスを解消出来たとすれば、その方の生活質の向上(QOL)に大きく貢献出来る可能性を秘めた医療でもある。

美容医療は自由診療で行われるため、安定した収益を維持することが予想以上に難しく、ややもすると一攫千金を狙ったいわゆる”儲け主義的”な経営方針で営業を行う施設も少なくない。

だが、美容医療は通常の医療に劣らない潜在的価値を有しているだけに、単に営利目的で行うのではなく、あくまで患者さんのメリットを最優先に診療を行うべきである。そして美容医療の社会的評価が高まるよう努力し続けることが我々美容医療に携わる医師たちにとって最も重要なことである。この努力によってこの業界自体の健全な活性化が図られるると、結果的に我々の恩恵となって戻ってくるであろう。

8.若手の育成

外科医として最大限その能力を発揮出来るのは個人差があるとはいえども30〜60代にかけてであり、その能力を永久に維持することは不可能である。その理由は視力や集中力持続時間の短縮など加齢に伴う体力的衰えが誰しもに訪れるからである。以上の理由で外科医がメスを置かざるを得なくなったとき、我々が過去に培った技術や経験を過去のものとして封印してしまうのではなく、これを次の世代を担う若い外科医たちに継承しなければならない。

例えばお隣の国、韓国では世代間ギャップがなく、各世代の医師たちが良好なコミュニケーションを保ち、積極的な学会活動等を通してこの業界自体の維持発展を試みている。我が国でも熟練医師たちが既得権益にのみ固執することなく、次世代の育成に力を注ぐ時期がきている。こういった奉仕的努力が巡り巡っての社会的評価や名声といった形でこの医療に関わった我々医師たち還元されるであろう。

9.国際間交流

保険診療を基盤とした通常医療の場合、医師たちは国内外の学会等で活発に交流を図りながら向上してゆくことが一般的である。これまで述べてきたように、美容医療は自由診療であるため、安定した顧客誘導が得られない限り良好なクリニック経営を維持できない。顧客誘導において一番有効なのは、その医師、およびそのクリニックに何か特化した技術やサービスが備わっていることなのはすでに述べてきた。

仮に特化したものが手術における技術だとすれば、その技術を保持する側はそれが外部に漏れることのないよう努力して当然である。だがこの事実は美容医療領域では、医師間での競争が非常に激化しやすいことを物語っている。つまり、この医療に携わる同業者はライバル化しやすいため、学会などを通して有益な情報の共有がなしえない。

だが、中国、韓国などのアジア近隣諸国であれば、顧客を奪い合うこともなく情報をオープンにしやすいので、有益な情報を共有しやすい。つまり、国内よりも海外で行われる国際学会、セミナー等に積極的に参加し、最新の技術、知識を取得する姿勢が大切である。だからといって海外の学会に出席したときに一方的に情報収集するのでななく、双方のギブアンドテイクとして海外の仲間たちにこちらの情報を発信するような配慮を持つことが、良好な国際交流を保つ上で大変重要である。

10.マーケットの活性化

繰り返しになるが、自由診療下で行われる美容医療で最も大切なのは、他院にはないそれぞれのクリニック独自性を見出し、その独自性によって顧客誘導を図ることである。その独自性は必ずしも治療技術とは限らず、そのクリニックが提供する商品や接遇などのサービスの場合も考えられる。そしてその独自性によって集客がなされた時にこそ、そのクリニックの社会的価値が認められた証拠となる。

クリニックの独自性がないにもかかわらず、クリニック営業を成立させるのに一番安易な方法は、料金設定を下げ人気クリニックから安さに惹かれた顧客を誘導する方法であろう。だが安易に料金を下げる行為は、この業界自体のマーケットをデフレ方向に傾け、いわゆる”労多くして功少なし”の悪循環に陥れかねない。

本来、この医療の進むべき正しい道筋は各々のクリニックがそれぞれの特徴を発揮し、人々に貢献する医療として認められることである。美容医療がこのような良循環の軌道に入ると、この 業界のマーケットが活性化し、結果的に多くのクリニックが経済的にも潤うようになるであろう。

Posted on | 8月 28, 2010 | No Comments

美容医療、今後のあり方-5

P10004134.患者さんのメリットを優先とした診療

医療行為はあくまでも患者さんのメリットを第一優先に行うべきであり、決して営利優先に行うべきではない。 患者さんと良好なコミュニケーションをはかり、ともに感動や喜びを分かち合いながら治療を行うとクリニックの評判が向上する。それが集客に結びつき、安定したクリニック経営にとって最も大切な要素となる。

逆に営利目的優先に診療を行うと、診療料金を支払う側である患者さんはクリニック側の姿勢を敏感に察知し警戒心を強める。そうなると本来患者さんの紹介で広がるはずの集客が滞り始め、広告宣伝にて新規顧客を開拓せざるを得ない。一般的に広告宣伝費は高額なので、クリニック運営経費上重くのしかかり、その経費獲得のためさらに営利目的に診療をおこなわざるを得なくなる悪循環に陥りかねない。

美容医療クリニックの経営で一攫千金を狙うことは不可能であり、そんなことをすれば上記の如く逆に自分の首を絞め、本末転倒の結果となってしまう。 もちろん、適切な治療のみを行えば早期からの売り上げにはつながらず、地道な努力と忍耐が必要となる。だが、”急がば回れ”ということわざにある通り、患者さんのためになる治療を地道に継続し、良い評判を増やすことで自然に患者さんが増えるような良循環を目指すべきであろう。 時間をかけて培った信用が次第に実を結び、結果的に安定経営への近道となる。

5.安全性


治療は安全性重視を第一前提に行うべきである。我々医師、特に外科医は手技的な向上を重んじる傾向があり、より高度なテクニックを学んだり、自分たちが経験したことのない新しい手技を体得しようと一生懸命になる。そして、そのような技術を臨床の場で挑戦、実践することに仕事のやりがい、達成感を見いだすことが少なくない。

だが技術や経験に乏しく、治療行為が患者さんに副作用や後遺症をもたらす危険性をはらんだものであれば、決して挑戦的な治療を行うべきではない。ではどのように患者さんに恩恵をもたらす安全かつ高度な技術を体得、実践できるのであろうか。それは先人たちが過去に培った安定した技術をまず最初に学んだ上で、その技術に自分なりの改良を少しずづ加え、それを検証してゆくべきであろう。

あまり経験したことのない手技に挑戦し、万が一事故などを起こすとどのような行く末となるであろうか。美容医療はあくまで本人の希望による治療(elective treatment)であり、健康な方々を相手にしている。救命目的とした通常手術とは異なり、こういった健康な方々に万一後遺症などが発生すれば、それは健康を不健康に陥れたと言い換えることが出来、その代償は計り知れなく大きい。また、そのような事故が発生すると、社会的事件として報道等で大きく取り上げられ、業界自体の規模を縮小してしまう。

美容医療に多くの方々の充実した人生に貢献できる力が備わっているにもかかわらず、医師の傲慢さや不注意から起こりうるこういった事故で、美容医療の潜在力がだいなしになってしまう。くれぐれも我々この業界に携わる医師たちは、安全性を第一優先に診療すべきである。

6.情報革命


我が国の美容医療は70年ほど前から始まったが、他の医療と比較してもその歴史はさほど長くない。ついこの間まで、ほんのわずかな施設のみでこの医療は行われていた。その間、治療を受けるには訪れた施設の医師の言われるがままに治療を受けていたのだ。 一般的に、情報はそれを保持する側がそれを保持しない側をリードし、コントロールする。つまり、当時 患者さんたちの美容医療に関する情報は皆無に等しく、 治療を行う医師サイドが患者さんをリードしていたのだ。

だがインターネットのめざましい発展を追い風に、患者さん側が治療に関する情報を容易に入手できる時代となった。それ以来、多くの患者さんはこれらの情報を事前に吟味し、十分な品定めをしてからクリニックに足を運ぶようになった。提供する情報は公正でなければならないが、その情報を取捨選択するのは患者さんたちで、たくさんの情報をインターネットから得られる分、その判断力は以前と比べれば格段に向上したであろう。そういった意味で現在の美容医療は患者さんにとって有利な状況になったとともに、 治療を提供する我々医師たちは医療レベル向上のための努力を常にしなければ生き残れない時代に突入したとも言える。

Posted on | 7月 27, 2010 | No Comments

美容医療、今後のあり方-4

P1000469クリニック生き残りのポイント

このコメントにこれからの美容外科のあるべき姿がある。 ついこの間まで医療の世界では、患者さんたちは否応無しに医師に診てもらう ような、医療を提供する側が優位の状況だった。 だが、時代は変遷し、患者さんが医師を選ぶ時代が到来した。

それはインターネットをはじめとする情報化社会の恩恵で、治療に興味を持つお客様たちが多くの情報を得るようになり、病院で実際に医師の話を聞く前に、十分な吟味が出来るようになったからだ。患者さんは医師の信頼度や技術はもちろんのこと、痛みが少なく、安全で、腫れないといったより良い治療を常に探している。

近年、美容医療は需要供給のバランスが崩れ、供給過多状態に陥っている。このような状況下にあると、クリニック存続に直結する売り上げも、景気動向にも影響されやすく、十分な思慮のもとに診療活動をしなければ、クリニックの安定維持は困難となる。そこで、こういった過当競争時代におけるクリニック存続のためのポイントをまとめてみた。

1.クリニックの独自性


何か決定的に患者さんを誘導するそのクリニック独自の強みがなければ、安定して患者さんを誘導することが困難となる。 銀座だけでも30軒近く美容外科系クリニックが存在する。特徴化された治療を行わなければ、顧客たちは低価格のクリニックを選択し始め、価格競争という悪循環に陥ってしまう。

いわゆる差別化された個々のクリニックの特徴は、独自の技術の場合もあれば、他には類のない行き届いたサービスのこともある。いずれにせよ、他院と異なる独自の顧客ラインを確保することが安定経営に不可欠となる。

2.低侵襲性治療


かつての美容外科治療は、皮膚切開を用いた侵襲度の高い治療が一般的であった。だが、こういった治療は傷口が残るので、必ずしも万人に受け入れられるとは限らない。たとえば、若返りのためのフェイスリフト治療に興味を持ったが、耳横の皮膚切開を行うことを知らされ、治療を躊躇したなどということが頻繁にある。だが美容外科技術は日々進歩し、かつてのような皮膚切開を用いずに、ほぼ同様の治療結果が得られるようになった。

こういった誰にも気がつかない程度に回復する低侵襲治療であれば、皮膚切開をためらう一般人も治療を受けてみたいと思うようになった。かつては侵襲度の高い治療をもいとわない限定された人たちのみの美容医療は、医療技術の進歩とともに低侵襲となったおかげで、一般人までその裾やを広げた。したがって、この業界へ新規参入しようとするクリニックは、こういった低侵襲性治療を主体に新規顧客層を開拓するべきである。

3.根拠ある医療(Evidence Based Medicine)


美容医療の裾やが広がり始めると、この業界にビジネスチャンスを見いだし、ありとあらゆる美容医療器機、材料メーカー等が次々に現れ参入する。その中には、何ら医学的根拠の裏付けがないにもかかわらず、一攫千金のみを狙って参入してくる者がいないとは限らない。

患者さんは、あくまでその道の専門家である医師を全面的に信頼した上で、提供される医療を受ける。したがって、安全かつ効果的な医療器機、材料をが取捨選択することも、我々医師の重大任務である。目先の利益や派手な宣伝等に迷うことなく、医学的根拠に基づいた安全性と効果のあるもののみを提供することを肝に銘じるべきだろう。

Posted on | 6月 2, 2010 | No Comments

美容医療、今後のあり方-3

P1000395韓国先輩医師の貴重な助言


クリニック経営は、このように目先の利益に心を奪われると、不測の事態に陥ることを常に念頭に置きながら、常に慎重な姿勢で行わねばならない。私が自分のクリニックを開業して丸5年が経過したことを韓国のLee医師伝えると、彼は次のような話をし始めた。彼が開業して5年目の頃は、一日に20件ほどの手術をこなしていたらしい。


当時彼のクリニックでは低価格で多くの患者さんを集めていたが、それだけ手術数をこなしているうちに、心身ともに疲れ切ってしまったとのこと。外科医は手術の数をこなして技術を磨くので、外科医として上り坂の時はそれでよい。だが、ずっとその手術件数を維持しようとすれば、心身ともに疲弊してしまう。また、手術料金を低価格に設定をしていると、必ずしも良質な顧客層が得られるとは限らず、クレーム患者などの出現で、それなりに苦労も多かったらしい。


Lee医師は辣腕外科医であるとともに、クリニック事業の経営者でもある。彼は若手医師たちを教育し、クリニックを拡大することで安定経営を目指した。だが、実際には信頼のおける部下が必ずしも予定通りに育つわけではない。また、有能な部下はすぐに自ら独立して彼のクリニックを去っていったとこのこと。


最近の韓国の景気後退に伴い、彼はビルの2フロアで行っていたクリニックを1フロアに規模縮小した。その代わり、価格設定を上げ、富裕層中心に治療をするようになった。価格設定を上げると、当然患者数は減るが、その分優良顧客が増え、手術件数が減少しても、料金が上がっているので、売り上げはさほど下がらかった。また、良質の顧客は理解があるので、低価格で集客していた顧客よりもクレーム等の発生も少なくなった。良質(富裕層)の顧客は同様な富裕層の顧客を連れてくるので、次第に良質の顧客のみが集まるようになった。

そしてLee医師は最後に面白いことを次のように言った。「今は限られた症例数を丁寧に行うことで、腫れが最小限の良好な結果が得られるようになった。治療が終わった後、患者さんと酒を一杯酌み交わせるような仲になれたら、このビジネスは成功に向かっている」と。

Posted on | 5月 18, 2010 | No Comments

美容医療、今後のあり方-2

美容外科を選択した理由

臨床医学は扱う疾患や部位により細分化されている。外科領域を例に挙げると、腹部臓器を扱う腹部外科、心臓を扱う循環器外科、脳を扱う脳神経外科、そし筋肉、神経、関節を扱う整形外科や、皮膚を含めた組織や臓器再建を行う形成外科などがある。私は何らかの外科医の道を選択し、初期研修としての5年間を整形外科領域で行った。整形外科はでは首から下の運動器手術を研修し、その解剖学的構造にも熟知することが出来た。

外科医としての初期研修が終了すると、自分の専門分野を選択することになる。私の場合、これまで経験したことのない顔面領域の外科的治療に大変興味があった。顔面領域の外科は、主に形成外科、耳鼻咽喉科や眼科など部位別に細分化されている。それは顔面構造が複雑であり、その取り扱いには高度な専門性が要求されるからに他ならない。整形外科医として初期研修を行った以上、再び形成外科等で初期研修を始めるのは重複する内容が多く効率的ではないと判断し、私は当時はどちらかというと特殊分野と見なされていた美容外科に注目した。それは美容外科であれば、整形外科初期研修で習得した技術を生かしながら、顔面外科を包括的に学ぶことが出来ると判断したからだった。

P1000023

韓国美容外科医の話

毎年一度日中韓合同で行われる東方美容外科学会で、数年前から親交を深めている韓国美容外科学会副会長、Lee医師が私のクリニックを訪れた。Lee医師は韓国の高級市街地カンナムで開業し、成功を収めている韓国美容外科の将来を担う働き盛りの美容外科医だ。Lee医師のバックグラウンドは心臓外科だったが、その後美容外科医に転身し、現在自分のクリニックを13年前に開業した。

韓国と日本は国境を隔ており、顧客獲得などで競合しないため、美容事情について腹を割って話すことが出来る。昨年来、世界を激震したリーマンショックは、少なからず韓国美容医療業界にもマイナス影響を与えたことは言うまでもない。そこで私は韓国の美容外科の現状を事情を彼に尋ねてみた。

韓国の場合、リーマンショックによる経済的ダメージは日本以上で、美容系クリニックも勝ち組と負け組に大別されたらしい。特にダメージを受けたのは開業したてで方向性が定まっていなかったり、安定した顧客を得ていないクリニックだったとのこと。

私の場合もそうだったが、新規開業クリニックはクリニック立ち上げのため、銀行などの金融機関から資金を借り入れることになる。リーマンショック以前の韓国は景気が良く、韓国の貨幣が日本円やドルに対して価値の高い、いわゆる”ウォン高”の状態であった。そこで新規開業医たちは、このウォン高を利用して、金利の低い日本円を借り入れて開業していたのだ。

だが、外貨建ての借り入れを行うと、常に為替変動のリスクが伴う。不運なことにリーマンショック以来、急激に円高ウォン安の状態に陥り、なんと円の価値はウォンに対して一気に2倍近くに跳ね上がってしまった。つまり、円建ての借り入れをした新規開業医たちの借金はリーマンショックを契機に2倍に膨らんでしまったのである。この危機的状態に絶えることが出来ず、開業早々、廃業に追い込まれた美容外科医も少なからずいたらしい。


Posted on | 4月 6, 2010 | No Comments

ブログ内検索
カテゴリー
過去の記事
最新のコメント
管理画面