対象と方法
2007年4月1日から2008年3月31日までの1年間に、目の下のくま(クマ)、たるみ治療に訪れた1044名(女性936名、男性108名、平均年齢、41.2歳、範囲19−75歳、標準偏差9.88) の治療成績を分析した。
来院時に問診票を記載させ、治療目的、これまでの美容治療歴の有無を確認した。特に眼瞼周囲の治療歴がある場合は、治療年月日、治療法、治療回数等についてその詳細を記載した。 また、喫煙歴と眼瞼周囲の色素沈着の強い相関関係より、現在、過去の喫煙歴の詳細を確認した。糖尿病、高血圧、感染症など治療やその回復に影響を及ぼす病歴についてもスクリーニングを行った。診察は座位にて下眼瞼の診察を行い、その際、下眼瞼脂肪量、下眼瞼皮膚色素沈着及びしわの有無、その左右差を調べた。
治療前に背景を青色とた壁の前に座位で姿勢を正し、室内灯のみでフラッシュを用いずに顔正面と目元拡大の2枚の写真撮影を行った。治療後に訪れた再診の患者さんにも同様の条件で写真撮影を行った。
日本美容外科学会で推奨するインフォームドコンセントに基づいて、治療を受ける患者さんに治療の目的、回復までの経過、合併症や後遺症の可能性等についてその詳細を説明した上で、原本とその複写に署名をもらった時点で治療契約の成立とした。
手術は仰臥位にて鎮静剤(セルシン10mg)を静注し、沈静化をはかった上で局所麻酔として下眼瞼に1%キシロカイン(10万分の1アドレナリン)を片側3〜6mlを注入し、麻酔が効力を発揮するまで5分程度経過してから治療を行った。下眼瞼粘膜の進入は高周波レーザーメス(エレマン社)を用い、出力27J にて水平方向に割を入れ、下眼瞼遠位端に向かって剥離を行った。進入はFig-2の如く、隔膜前方アプローチ法を用いた。
Fig-2

下眼瞼内側から外側まで隔膜(Septum)を露出させ、そこから膨隆する下眼瞼脂肪をペアン鉗子で保持しながら余剰部位を随時切除した。 下眼瞼皮膚が良好な位置に挙上するよう 真皮と下眼瞼脂肪組織を結合させるLockwood suspension ligament等を皮下組織から解離した。血管叢の多い下眼瞼内側脂肪と外側眼窩底部の止血を入念に行い、完全止血を確認した。下眼瞼結膜面は縫合せず開放創とし、粘膜面が反転しないよう、粘膜面が遠位、近位端で確実に整合しているのを確認して手術を終了とした。
治療後は目元をアイスノンで冷やしながら、1〜2時間程度安静にさせた。治療後処方はセフェム系抗生物質入り点眼薬1本を一日2~3回、5日間ほど注すこととセフェム系抗生物質内服薬を3日間服用するように指示した。
治療結果の分析は、治療約1ヶ月後に訪れた再診患者300名を抽出した。これらの患者に治療前後の写真を確認させた上で、満足度をチャートに記載させて満足度を評価した。合併症や問題点は、治療を行った医師による医学的見地に基づいて評価した。
Posted on | 1月 11, 2012 | No Comments
我々は老眼の発症をもって、老いを感じざる得なくなことが一般的である。老化現象として視力が衰えると同様に、外見上の老化も眼周囲に初発することが一般的である。東洋人の場合、寒さから眼球を保護するために、眼周囲に厚い脂肪組織が覆っていると報告されている。眼周囲脂肪は加齢とともに、その容量や位置(ポジショニング)が変化するため、この現象により若年時代とは違った外見上の変化、すなわち老いの兆候が目元に出現し始める。
眼窩周囲脂肪は上眼瞼脂肪と下眼瞼脂肪から構成される。上眼瞼脂肪は加齢ともに縮小すると言われるが、下眼瞼脂肪は必ずしも加齢とともに萎縮せず、むしろ膨張する場合が多い。下眼瞼脂肪の膨隆は、いかにも下眼瞼皮膚が下垂したかの如く、典型的な外見上の老化兆候として認識され、この症状はいわゆる”目の下のたるみ”として客観的にも明らかとなる。
これらの原因は、高密度組織である眼球組織の荷重と、下眼瞼支持組織であるLockwood suspension ligament や下眼瞼皮膚、眼輪筋、眼窩隔膜等の加齢に伴う弛緩が原因とされる。すなわちこれらの複合的要因により、下眼瞼脂肪がヘルニア状態となり、下眼瞼皮膚前部方向に逸脱することで目の下のたるみを形成し、この状態が不可逆的となる。
さらに東洋人の場合、下眼瞼組織構造の不具合によって、下眼瞼皮膚色素や影を強調させる、いわゆる”目の下のくま(クマ)”症状が発症することがある。目の下のくま(クマ)は必ずしも加齢に伴う下眼瞼脂肪の前方突出がその直接原因ではないため、比較的若年層から発症することが少なくない。この症状はLockwood suspension ligament 等の下眼瞼支持組織が皮膚を下垂位に固着させていることがその主な原因であるため、これらの支持組織を解離し、皮膚を挙上させることで、目の下のくま(クマ)症状を大幅に解消することが可能である。
当クリニックにおいて2007年4月1日から2008年3月31日までの1年間に、目の下のくま(クマ)、たるみに対して行った1044名(女性936名、男性108名、平均年齢、41.2歳、範囲19−75歳、標準偏差9.88) の下眼瞼形成術について、統計的分析を用いた上で、その治療成績を検証する。
key word: 下眼瞼脂肪 目の下のたるみ 目の下のくま(クマ)Lockwood suspension ligament 眼窩隔膜 elective surgery
はじめに:
外傷や疾病治療、疼痛緩和、そして救急処置を目的に行う一般医療の場合、時としてその治療は一刻を争うものであり、救命最優先にして必要な処置を選択せねばならない。例えば急性発症心筋梗塞にて手術しか救命の方法がない場合、直ちに開胸手技を行わねばならず、手術後に大きく残存する傷跡について論議する余地はない。だが美容外科治療は、こういった救命最優先とする一般医療と異なり、いわゆる”elective surgery(随意意志による手術)であるため、安全、確実、早期回復が保証されるなければならない。
従来、わが国における目の下のくま(クマ)、たるみ手術は、下眼瞼眉毛直下皮膚切開を用いて行うことが一般的であった。その理由は、これの症状の責任が下眼瞼脂肪や下眼瞼構造の不具合よりも、むしろ皮膚自体にあると認識されてきたからである。また下眼瞼形成術を行う際、皮膚切開アプローチの方が結膜面アプローチよりも手技的に容易なことも、皮膚切開プローチが従来まで主流であったもう一つの要因でもある。
だが臨床の場で、目の下のくま(クマ)、たるみ治療を希望する患者に下眼瞼皮膚切開法を勧めても、大半の人が傷跡などの後遺症発生の可能性を危惧し、治療をためらうことが少なくない。その理由は先述の如く、美容外科手術は救命を伴わない、いわゆる”elective surgery(随意意志による手術)であるため、患者たちは後遺症の発症する可能性のある手技を本能的に回避するからであろう。
当クリニックでは、原則的にすべての下眼瞼形成術に結膜面からのアプローチを行い、ほぼ良好な結果を得ることに成功した。またこの手法が認知されるにつれ、治療を求める顧客はFig-1の如く全国から当クリニックに訪れるようになった。この事実は、当クリニックの皮膚切開法を用いない治療が普及するまで、下眼瞼皮膚切開法のみしか目の下の(クマ)、たるみを改善する手段がなく、治療をためらっていた患者さんたちがいかに多数いたかを示すことになった。以下にこの手法の結果について統計学的手法を含めた分析を行い、その有効性を示す。
Fig-1

Posted on | 12月 17, 2011 | No Comments
Q:皮膚を切らない目の下のくま(クマ)、たるみ治療(経結膜的下眼瞼形成術)を行うと、目の下にしわが出来るので、皮膚切開をすべきとか、下眼瞼に脂肪注入を行ったほうが良いと他院で言われたのですが、それは本当ですか?
A:他院でのその意見は必ずしも正しくありません。
当クリニックでは過去7年間で6500例近くの下眼瞼形成術を行いましたが、皮膚切開法を用いたり、脂肪注入した例は、その中の1%以下に過ぎません。
クリニックによって、皮膚を切らない目の下のくま(クマ)、たるみ治療に、必ず脂肪注入や脂肪移動をさせたりするようですが、そういった処置が必要な症例はまれですから、必ずしも同時に行う必要はありません。
そういった処置は万が一必要な場合のみに、治療からの完全な回復を待った上で、行うべきでしょう。すなわち、少なくとも治療後6ヶ月程度経過した上で、そのような処置が必要か判断すべきであり、早急な追加治療は避けるべきです。
何故なら、人体には再生能力があり、下眼瞼皮下組織に行ったレーザー治療の治癒再生反応は皮下深部から始まり、時間経過とともに皮膚浅層へと伝播してゆきます。
この再生反応は治療後10ヶ月程度継続し、最終的に表皮再生までなされます。従って、その最終結果が得られた上で、必要な場合のみ次のステップを検討するのが賢明です。
下写真で、その再生過程を検証します。
61歳男性の典型的な目の下のたるみ症例です。
(治療前)

下写真は治療1ヶ月後の状態ですが、この時点では目の下に小じわ等が認められます。
(治療1ヶ月後)

治療約10ヶ月後の写真ですが、下眼瞼の処置は何をしなくとも、自然治癒(再生)過程で、治療1ヶ月後に存在した小じわ等が解消されていることがわかります。
(治療10ヶ月後)

上記症例の最終結果を見ると、完璧な結果とは言えません。さらなる改善を求めるとすれば、ヒアルロン酸や脂肪注入などを行うと良いかもしれません。しかし、本人はこれ以上の改善を必ずしも要求しておらず、年相応の結果が得られたことに十分満足しています。

この男性の場合、治療前は目の下のたるみが他の顔面部位よりもきわだって老化を感じさせていましたが、この症状を解消することにより、顔全体が平均化しました。したがって、これ以上目の下の状態を改善する優先順位が低くなりました。
今後、さらなる顔全体のアンチエイジング(若返り)を望むのであれば、下眼瞼よりも額のしわや頬のしみ、頬のたるみ改善の方がその効果は高いでしょう。
次は38歳女性の症例です。
(治療前)

治療1ヶ月後、目の下のくま(クマ)は改善していますが、しわは依然、残存しています。
(治療1ヶ月後)

治療3ヶ月後、自然治癒(再生)過程で、何の処置をしなくともしわ等は消失しています。
(治療3ヶ月後)

この症例をよく観察すると、治療後目の下のくま(クマ)、たるみがのみではなく、上眼瞼のくぼみや目の開きも改善されたことがわかります。下眼瞼は眼瞼全体の土台となるので、この部位の不具合を解消すると、眼周囲のバランスが適切となり、美容的価値のみならず、眼瞼下垂症の予防など機能的効果が得られます。
Posted on | 12月 1, 2011 | No Comments
43歳女性
治療日:2011年4月28日
経過:30歳を過ぎた頃より、目の下のしわが気になり始めました。それが次第に立体化し始め、不安になったそうです。目の下のたるみ除去をするのに、切開法を用いるとダウンタイムが長くなったり、傷跡の問題が生じる不安があったため、踏み切れないでいたようです。さまざまなクリニックをインターネットで調べているうちに当院を見つけました。
治療方針:治療前写真-1,2の如く、軽度の目の下のたるみが認められます。この症状は下眼瞼過剰脂肪によるもので、目の下が腫れて見えたり、しわやたるみのラインが認められます。また下眼瞼過剰脂肪が存在すると、眼球自体が過剰脂肪に埋もれるので、目が小さく見えることが特徴的です。このような症状の原因である目の下のたるみを解消すべく、経結膜的下眼瞼形成術を行いました。
写真-1,2


治療後の評価:治療直後の写真-3,4を観察すると、腫れは最小限であることがわかります。
写真-3,4


治療1週間後の写真-5,6を観察すると、お化粧(メイクアップ)で隠しているため、腫れの程度について正確な判断は出来ません。よく観察すると右目の眼輪筋(いわゆる”涙袋”)が腫れていますが、この腫れも一時的であり、時間の経過とともに改善するでしょう。
(治療1週間後の写真-5,6)


治療1ヶ月の写真-7,8を観察すると、右目眼輪筋(いわゆる”涙袋”)はややむくんでいますが、改善傾向にあります。下眼瞼の色素沈着は依然残存していますが、時間とともに解消されるでしょう。
(治療1ヶ月の写真-7,8)


治療3ヶ月後の写真-9,10 を観察すると、眼輪筋の腫れや色素沈着もほぼ消失して、適正な治療結果が得られ始めました。
(治療3ヶ月の写真-9,10)


治療6ヶ月後の写真-11,12を観察すると、治療結果は治療3ヶ月後とほぼ同様に安定しました。治療前に比較すると、眼周囲の圧迫感がとれ、余裕のある優しい目元に改善されました。
(治療6ヶ月後の写真-11,12)


Posted on | 11月 26, 2011 | No Comments
21歳女性
治療日:2011年3月25日
経過:目の下のくま(クマ)を気にして来院しました。
診察:軽度の下眼瞼色素沈着あり。
下眼瞼脂肪は少量。
治療方針:治療前写真-1,2の如く、軽度な目の下のくま(クマ)症状を認めます。将来の目の下のくま(クマ)症状の進行の予防を兼ねて、治療は経結膜的下眼瞼形成術を行うことにしました。
治療後の評価: 治療5日後の写真-3,4を観察すると、腫れはほとんどなく、お化粧(メイクアップ)で隠れる程度です。
治療3週間後の写真-5,6を観察すると、治療後、3〜4週間程度は結膜に対するレーザー照射後の炎症反応のため、下眼瞼皮膚色素が一時的に強調されて見えます。
しかし、治療1ヶ月半後の写真-7,8を見ると、下眼瞼皮膚色素も解消され、治療前に存在した目の下のくま(クマ)がほぼ解消されています。
このように目の下のくま(クマ)は若年層から発症していることが多いのですが、下眼瞼構造の不具合を解消することで効果的な結果が得られます。
治療前写真-1,2


治療5日後写真-3,4


治療3週間後写真-5,6


治療1ヶ月半後写真-7,8


Posted on | 11月 19, 2011 | No Comments